君が寝る前に。

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二階堂くんに掴まれた手首が嬉しくて、にやにやと自分の手首を見つめながら歩いていると、急に立ち止まった彼の背中にボフッと顔面をぶつけてしまった。



「ぶっ！」


「あ、ごめん…鼻折れてる…」


「折れてないし！元々低いんだし！」


「あひゃひゃ」


もう！って腕を叩いてみる。


その腕は思ったよりも筋肉がついていて、固くて男の人なんだなあ、って感じさせられた。


「あっち、見て」


二階堂くんが指さした方向を見てみると、


「……うわぁ…」


「んふふ、凄いでしょ」


そこには一面光の世界が広がっていた。


動物園ならではのたくさんの動物たちがモチーフのイルミネーションが、キラキラと眩しいくらいの輝きを放っていた。


無数の輝きに心を奪われて思わず見入っていると、二階堂くんがゆっくりと話始めた。


「俺ね、イルミネーション好きじゃないんだよねー」


「…このタイミングでそれ言うの？」


「んふふ、今までこんなのやってたことにすら気づかなかったんだけどね、ここでデートするってなって下調べしてたら、Aに見せてあげたいなって思った」


ただただ、凄く嬉しい。


わたしからお願いしたデートなのに下調べまでしてくれてたなんて感動満点100点満点。


「全然今まで興味なかったのに、今Aと見たらすっげー綺麗だからビックリした」


ってイルミネーションを見つめてスーパー優しい笑顔で言うもんだから、わたしはその二階堂くんの横顔に釘付けになってしまった。


何も言わないわたしに異変を感じたのか、こちらを見た二階堂くん。


「えっ！…どした？なに？どしたの？」


私の顔を見るなり今までにないくらい焦りだした彼。


「A泣いてるよ…？」


そう言われてまさか、と思い頬を触ってみると涙で頬が濡れていた。


二階堂くんに言われるまで気が付かなかった。






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