coffee cup (ページ43)

今日:26 hit、昨日:0 hit、合計:33,158 hit

___ ページ43

「6号車元気担当ユースケで～す！」

手で6を作ってにこっと笑う。
私の知っている佑亮くんとは別人だった。どっちかっていうと酔った時の佑亮くん。いや、こっちが本物なのかもしれない。何がなんだかよく分からない。

だってそこには…、草川さんも太陽先輩もいる。

「……超特急、」

訳が分からなくなって涙が溢れる。佑亮くんが目の前にいるのに……、目の前にいるのに遠いところにいる。

まだ涙が止まらない目を抑えて家を飛び出した。

ーーーーーーー

…___超特急。

ダンスボーカルグループ。メインダンサー、バックボーカルで結成された史上初のグループ。

結成されたのはかなり前だけど、本格的にテレビに出始めたのは最近らしくて、新曲も出しているしドラマに出ているメンバーだって居た。

合コンで仕事を聞かれた時「いつかわかるよ」って佑亮くんが言ってたっけな。
その時はすごく笑顔だった。きっと、"超特急"が大好きなんだろうな。だってほら、彼はグループのみんなといる時飛びっきりの笑顔で笑ってる。楽しそう。

電車の中で見漁った超特急の映像が頭に焼き付いて離れない。

「……凛華ぁあ！」

「え、ちょ、どうしたの？」

「佑亮くん、芸能人だった。」

「……え？」

ーー

「え、じゃあ草川先輩も？太陽先輩も？？」

「そう。そのグループに一緒に居たの。」

何故か分からないけど凛華に話している時も涙が止まらなくて何回も背中をさすられた。

「…会いに行きなよ」

「………は？」

「いや何言って…「だってさ、やっと居場所が分かったんでしょ？うじうじしてるなんてもったいない」

言われてみればそうだけど…。やっぱりどうしても自信が無い。さらにそんなに有名人だったんなら私なんて佑亮くんにとってはただの後輩。

「好きなら正面からぶつかってきなよ」

目の前の凛華が優しく微笑んだ。