coffee cup (ページ35)

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それから1時間くらいかな。話に夢中になって時間も忘れた頃。

「もうこんな時間やな～」

「え、まじですか太陽先輩と話すの楽しすぎて時間忘れちゃいますね」

なんて笑うと、太陽先輩は「よかった」と言って伝票を持っていく。

「え、また奢ってもらうなんて悪いです、！」

「今日も誘ったの俺やからさ」

何処までも王子様だなぁ。本当に、白馬の王子様だ。太陽先輩は。

ーーー

「懐かしいよなぁ。昔こうやって一緒に帰ったことあったよな～」

「覚えてるんですか！？」

「はは、もちろんやで」

そうだなぁ。あの時は太陽先輩が大好きで大好きで仕方なかった時。たまたま友達の都合とかが重なって一緒に帰ることになったけど、緊張しまくりで上手く話せなかったしすっごく後悔したなぁ。

「今日はありがとうございました！また行きましょうね！！」

「こちらこそ……Aちゃん。」

手を振ってマンションの自動ドアが開くと同時に太陽先輩に左腕を掴んで引き留められる。

「太陽…先輩？」

「…Aちゃん、好きやで…。」

「え……」

私を見る太陽先輩は真剣そのものだった。
心臓がバクバクして出てきそう。
なんだろう、この感覚は何かが胸に突っかかって邪魔をする。
まるで太陽先輩に応えるなって言っているみたい。
凄く嬉しいはずなのに何故か「私も好きです」と言う言葉が出てこなかった。なんで？私が好きなのは太陽先輩でしょう？