coffee cup (ページ2)

今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:33,145 hit

ハジマリページ2

手渡されたやけに冷たいカップに慣れた手つきで生クリームを搾る。丁度帰り際に友達とはしゃぐJKやパソコンを片手に気疲れしたサラリーマン。何もここでする事何様な気もするけど洒落た場所で勉強しようとするオニーサンとかでこの時間は店内がごった返す。
早く客よ散ってくれと禁句を脳裏に浮かべてただ黙々と仕事をしていた。昨日入ったばかりのホールの子は無駄に長いメニュー表とやらを覚えるのに苦戦していて戦力外。昔は私もそうだったなぁ。て、何年前の話だよ。

「箕輪さんCF入りまーす」

スパイかなんかの暗号みたいなのが聞こえるとまたカップを受け取る。昔はココアとかカフェオレも好んで飲んでいたけど最近は歳のせいか仕事のせいか胸焼けが凄くて生クリームを見るだけでむっとする。

「お待たせ致しました。キャラメルフラ…」

生クリームを絞り終わってお決まりの蓋と緑色のストローを刺すとお客様は目の前……
って何このイケメン。
私の目の前には顔立ちがハッキリしていて高い鼻、綺麗な目、薄い唇がその小さな顔の中にしっかり収まっている。所謂世間一般で言うイケメンが立っていた。

「なんか顔についてます？」

私がフリーズしたせいでふふっと小馬鹿にした様な自分がイケメンって自覚したような返事が上から降ってくる。
こう言うタイプの男は苦手だ。少し顔…いやだいぶ顔が良いからって世間は自分の手の中にあるとでも思ってそうなタイプ。
少し頭にきた私は、洒落た店内には似合わない、数年前にバイトしていた居酒屋の時みたいに大きな声を出して無理やりイケメンを追い払った。

「キャラメルフラペチーノでございます！お買い上げありがとうございましたァァッ！！！！」