すいーと ページ3
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「 わたしに化けるのは辞めてって言ったよね。どうしてこんなに簡単な約束もまもれないのかなぁ 」
「 ま、丸井を揶揄おうと… 」
「 …丸井くんに迷惑でしょ？ 」
家庭科の授業も終わり、教室に戻っては先程のことを咎める。前にわたしになられた時、余りにも気持ち悪くて怒られたことを忘れたのだろうか。取り敢えず1回、脛の辺りを蹴っておいた。
「 ……ごめんね丸井くん、家の幼馴染みたいな何かが迷惑かけて 」
「 んにゃ、大丈夫だぜぃ…？というか、幼馴染みたいな何かって扱いが酷くて笑えてきた 」
口元を抑えて言う彼がとても可愛らしい。……あぁもう、誤魔化すことすら出来なくなってきた。
「 だって、幼馴染かどうか微妙なラインだから… 」
結局、曖昧な笑顔で返す。それでも丸井くんは納得したように頷いたから、もうそれで良いのかなぁ、何て。
今思えば、わたしは相当クラスで人気の人、それもテニス部レギュラーの二人と関わっている筈なのに虐めも何も起こっていない( 虐められたい訳では決して無いが )。……何故だろうか、と考えてみた。明らかに目を惹こうとした、媚びた対応をしないからだろうか、と思い至る。……否々、態々媚びを売る必要は無いと思うけれど、テニス部に近付く輩は大抵媚びを売る人のほうが多い。……噂では、テニス部の人に媚びを売る女子は徹底的に潰す、がテニス部の誰かに恋をした人達の中で暗黙の了解だと聞いた。……恋する乙女ってこわい。
そう思いながらも、恋する乙女になり掛けている自分に嫌気が差す。……3年前、中学に入ったばかりの頃に、初恋は叶わない、とまぁくんが言っていた。その時は、まぁくんは転校する前の学校に好きな人がいたのかな、何て思って聞き流していたのだけれど( 実際に思い人がいたのかどうかを聞いたことは流石に無い )、今は確かに、初恋は叶わないのだろう、そう思った。だってこれは、こんなにもぐちゃぐちゃで、どろどろで、苦い薬寄りも苦くて。……こんな思いを知られてしまうくらいなら、わたしは隠し通したいし、彼は余りにも人気なのだ。わたし何かが好きになってはいけない人だ、……わかってたのになぁ、
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作者名：乃愛 | 作者ホームページ：
作成日時：2019年1月1日 20時
