甘い夢に溺れる。 (ページ1)

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すいーとページ1

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　それはきっと、甘い、唯々甘いだけの夢だった。

　家庭科の時間、男女1組でクッキーを作ることになって、偶然組まされたのは、赤髪でクラス一の甘党男子。慣れていたのか、魔法みたいに素早く生地の準備を終わらせてしまった。わたしの仕事なんて無くて、手伝うかどうかを聞いたら型抜きと道具、材料の用意だけで良い、何て言われたから御言葉に甘えさせてもらった。

「 ……この兎とか、どうかな」
「おっ、良いなそれ！じゃあ、この花とか、これとか～……、」

　普通は、こんな話は出来無いだろう。クッキー作り、けれど男女で型について話す時に、花が出てくるなんて思わなくて、少し驚いた。色々な所を転々とした挙句、最後の最後はわたしと同じ小学校に入っていた幼馴染のような存在である白髪の彼が前に言ったことを思い出す。確か彼は弟達にクッキーを作る際、花等の形にすることが多いらしく、それで何となく癖になっているのではないか、とかなんとか。そんなことよりも相変わらずあの人は方言がきつい。そろそろ直した方が良いのでは無いか。そんな、どうでもいいことを考えては頭から消していく。声を掛けられた。……少し心臓が跳ねたような、そんな気がした。気の所為だ、きっと。気付かないふりをしてしまおう、何て。

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