美 彩 恋 愛

#38 ページ38

あの後、


何も言わず私の楽屋を
出てった隆二。







もう、終わりかも……





でも不思議と

仕方ないって思ってる自分がいて

これで良かったのかな、なんて。





どうでも良くなってきた。







あと少ししたら映画のクランクイン。





考えないようにしよう。









羽「Aさん、だいじょ…


「羽田ちゃん。台本持ってきてくれない？」


羽「あ、はい!!」


「それと。別に私落ち込んだりしてないから。
気にしなくていいよ。」







元々、裏切ってたのは私の方だし。









そして羽田ちゃんが持ってきてくれた台本に
目を通す。







今日の撮影は


私の彼が突然居なくなってから
１年が経って、
彼にそっくりの新入社員と
出会う大事なシーン。







「ふぅ……」








さっきの出来事を忘れるように
台本に没頭した。








私の役柄は
普通のOL。宮井莉々子。(みやいりりこ)


同棲していた彼氏が
突然居なくなる出来事から１年、
新入社員の中には
居なくなったはずの彼の姿。
だけど、そっくりなだけだと
疑っていた莉々子だったが
声と名前が彼そのものだった。

会いたくてたまらなかった
彼と再び結ばれる莉々子。


しかし、本当の彼は
莉々子と同棲していた彼氏とは
全くの別人だった___



その衝撃のラストに
原作のファンは魅了されたという。






あまりにも切ないストーリーに
実写化すら難しいと言われていた。







その作品に出演するプレッシャーは
尋常じゃなくて。






すると私の台本に黒い影が。









臣「大丈夫？」





顔を上げれば
スーツ姿の登坂さん。







「……え？あ、はい…大丈夫ですけど……」





臣「ほんとに鈍感だよね。」






そう言ってしゃがみ込んだ登坂さんは



台本のページをめくろうとする私の手を握った。









臣「一回落ち着こっか。」









自分でも気付かなかった。







私の手が震えてることを____

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