渡辺くんは彼女の声が聞きたい。〈青〉

▽10.難しい ページ10

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『···· わたな、べくん、』



確かに、私のことを［好き］だと言った。




渡「最初は、ずっと1人で居るなって気になったくらいだったけど、話した時、ちょっと悲しそうな顔しながら話してくれてたから、なんか俺が守ってあげたいって思ったの。初めて、ちゃんと声でAちゃんと会話した日も、やっぱり俺、好きだなって思えた。」


『わたし、も、渡辺くんと話すの凄く楽しかったし、

みんなと変わりなく話しかけてくれるのが嬉しかった、
こうして今も話せるのは嬉しいよ、？

けどね、この先そうは行かなくなるの、私のことで渡辺くんに負担かけたくない。こんなに大変な世界に身を置いてる渡辺くんに、

迷惑かけられないよ、』




私も、渡辺くんのことは［好き］だと思う。



渡辺くんは優しいからきっと私のことを考えてくれる。


けど、それは渡辺くんにとっていつか負担になってしまう気がするの。



それだけは嫌。



渡辺くんの夢を近くで応援してあげたい。でも、それは私じゃない。



『渡辺くん、ごめんね。私も好きだけど、一緒にはなれない。』


苦しいけど、こうしなきゃ。


渡辺くんにはきっともっと見合う人が居るはずなんだからさ。



渡「、じゃあ、1回だけ、」



腰を引き寄せられて、ゆらゆらと揺れる渡辺くんの瞳に見つめられて、薄くて柔らかい唇が触れた。




初めてのキスは、甘くて、しょっぱかった。

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