渡辺くんは彼女の声が聞きたい。〈青〉

△28.覚悟 ページ28

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渡辺くんと約束の日、いつもより服装と髪、メイクにも力を入れてしまった。



我ながらめちゃくちゃ渡辺くんのこと好きなんだなって改めて自覚させられる。




笑っても泣いても今日がさいご。





渡辺くんとの待ち合わせ場所に向かう。





さすがに外は、ってことで直接お店で待ち合わせに。






ちょっと遅くなっちゃったかもしれないな、そう思って個室の扉を開けると既にメニューと睨めっこした渡辺くんが居た。



『(遅くなってごめんね)』

渡「(全然いいよ。俺がちょっと早く来ちゃっただけだから)」



ふわっ優しく微笑んでくれて胸がきゅっとなる。




2人用の小さな個室だから隣に腰を下ろす。



ご飯を頼んで、ある程度ゆっくりする。




『(渡辺くん、)』




ずっと、ずっとずっと長く待たせてごめんね。





あの日、心を閉ざしてた私の心を溶かしてくれたのは紛れもなく渡辺くんで。



私が怖くて逃げて渡辺くんを傷つけて、何回も悲しませてごめんね。





『(渡辺くん、ずっと待たせてごめんね。私も、渡辺くんが好きだよ)好き、だよ、』



そう言ったら、渡辺くんは一瞬驚いて目を見開いたけど、すぐに優しく笑ってくれて、抱きしめてくれた。



渡辺くんの、優しい香りが強くなってつつまれる。





渡「(ありがとう。ずっと待ってたよ。俺もAちゃんが好きだよ)」




手話じゃなくて、渡辺くんの柔らかくて優しい声が聞きたかった。

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