渡辺くんは彼女の声が聞きたい。〈青〉

▽03.冬休み ページ3

▽




終業式。


渡辺くんが来た。



変わらず今日も話しかけてくれる。



渡【久しぶり】

【忙しそうだね】

渡【うん、年明けも暫く立て込んでるからまた来れなくなっちゃうかも】

【そっか、体調気をつけてね。】




渡辺くんは書かずに、大きく口を開けて、


「あ、り、が、と、う」



と、私にも見てわかるように言ってくれた。



それがなんだかとてつもなく嬉しくて、久しぶりに笑えた気がしたんだ。



終業式が終わればしばらくは学校がない。


そんなわけでモテモテの渡辺くんは連絡先聞かれたりで女の子に囲まれてる。



私は普通に帰ろうとしたら渡辺くんに腕を掴まれて、携帯を出してきた。



『？』



渡辺くんは、携帯のメモスペースに【連絡先、良かったら交換しない？】と綴られていた。


でも、さっき女の子たちの断ってたのに、



でも、冬休みでも渡辺くんと話せるんだって思うと嬉しくて、思わず頷いてしまった。


渡【じゃあ、これ。俺のIDだから登録しといて。】


紙に書かれた数字たち。


有難く受け取って、帰りの電車で登録しておいた。

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