伝 え た い 。 【鬼滅の刃】

弐 . 時透少年 ページ5

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無一郎くんは過去のショックから記憶喪失に
なっている、って胡蝶さんが言っていた。




『無一郎くーん！！！おっはよー！！！』




思いっきり部屋の戸を開けると、迷惑顔な無一郎くんが
私をじっと見た。




「……誰だっけ」


『やだなぁー！もう！！昨日も一昨日も自己紹介
したじゃない！！』


「…そうだっけ。でも、どうでもいいや。
どうせすぐ忘れるから」




確かにそうなんだろうけど！
どうでもいい、ってハッキリ言われると結構 傷付く！！




『私の名前はA！いい！？ほら、言ってごらん！
Aお姉ちゃんって！！』


「声がとても大きい。静かにしてほしい。
黙ってほしい」


『すみませんでした』




無一郎くんは、「はぁ」と小さくため息をついた。




『あ、そーだ。無一郎くん、カステラ食べる？』


「いらない」


『えー？じゃあ私が食べちゃお』




先ほど、" 隠 "の後藤さんから頂いたカステラを
口に入れる。んー、美味しい！！！


カステラのあまりの美味しさにほっぺを抑えていると、
無一郎くんがこっちをじっと見つめてくる。




『どしたの？食べる？』


「君は、どうして僕に構うの？」


『え？好き、だからかなぁ？』




言った後に気付いた。
これって告白じゃん！？




『あ、いや、今のは違くて！えーと、えーと』


「もう静かにして」




無一郎くんは、無愛想にそう言うと目を閉じ
そのまま寝息を立て始めた。


口を開けば、キツい言葉ばかりだけど
寝顔はそれはそれは可愛らしいんだよなぁ…。



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