伝 え た い 。 【鬼滅の刃】

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百貨店を歩き回ったあとに立ち寄った家具屋で無事、
本来の目的であった布団を購入したので帰路(きろ)につく。


もちろん、荷物は私が持っていたけど
『重い重い』って騒いでたら途中から無一郎くんが
代わってくれた。




『ふふふふっ』


「…なに笑ってんの」


『べっつにー』




百貨店で手を繋がれたことを思い出すと
どうしても…ねぇ？笑みがこぼれてしまう。




「……ちなみに、君の手汗すごかったよ」


『ま、またそういうこと言うー！！
緊張しちゃったんだからしょうがないでしょー！！』




無一郎くんにはデリカシーというものがない。
…前から知っていたけれども！！




「なんで緊張してるの？」


『そりゃあ、好きな人と手を繋いだら誰でも___
って！言わすな！！！』


「君は1人で何を騒いでるの」




冷めた目で見つめられるから、余計に
恥ずかしい。




「……月が綺麗だ」


『えぇっ！？』




唐突に無一郎くんが私を見ながらそんな言葉を
口にしたので私は思わず顔を真っ赤にして叫んだ。



" 月が綺麗だ "って、夏目漱石の…アレ！？
" 𝙄 𝙇𝙤𝙫𝙚 𝙔𝙤𝙪 "って意味のやつ！？

え、いきなりすぎるよ無一郎くん！！


だって、そういう素振(そぶ)りいままで
見せてくれなかったじゃん！！

こういう時、なんて返すんだっけ！？ええと……




『えっと……" 死んでもいいわ "…っ！』




私がそう言うと、無一郎くんは「はぁ？」という顔で
私を見つめた。




「何言ってんの？満月だね、って意味なんだけど？」




しかめっ面(つら)の無一郎くんが私の後ろを指さすので、
振り返って見るとたしかに東の方角に満月が昇(のぼ)っていた。


そうでした。
無一郎くんはこんな遠回しな言い方をしない人でした。




『無一郎くん……。小説、読もうよ…。
勘違いしちゃうじゃん……』


「意味わかんないんだけど」




少し、ガッカリした夜だった。



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あの有名な文豪・夏目漱石は「𝙄 𝙇𝙤𝙫𝙚 𝙔𝙤𝙪」を
日本語で「月が綺麗ですね」と訳したことから
遠回しに愛を伝える言葉として、現代でも
使われているそう！皆さんも耳にしたことあるのでは！？

玖 . 雷鳴→←・

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