伝 え た い 。 【鬼滅の刃】

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その後のことはもう本当に記憶が無い。


このままじゃ殺されると思い、蕨姫花魁から
一刻も早く逃げようと 京極屋を飛び出し 出発寸前の
汽車に乗り込んだ。



ボロボロで血塗(まみ)れの私を見て、乗客や車掌(しゃしょう)さんが
ギョッとした顔をした。



汽車を降り、アオイちゃんがくれた蝶屋敷までの
地図を広げる。


目から大粒の涙が溢れ、手紙に大きな染(し)みを作った。



…あぁ、早くみんなに会いたいなぁ。



ヨロヨロとした足取りで蝶屋敷へ向かう。
頭上では鴉(からす)が「見ツケタ！見ツケタ！」と鳴きながら
飛び回っている。

…ん？ " 見ツケタ "！？！？！？



ﾊﾞｯ！と見上げると、異様に睫毛(まつげ)が長い鴉が
私の頭上をグルグルと飛び回っていた。




「ホホホホ！！見ツケタ！見ツケタ！！」


『えぇ！？な、何！？！？』




鴉は私の肩に乗ると、" エッヘン "という感じで
胸を張った。


……私はこの人語を喋る鴉の存在を知っている。
『鬼殺隊』の隊士に仕(つか)える" 鎹鴉(かすがいからす) "だ。

…ということは、近くにこの鴉のパートナーである
隊士がいるはず。




「銀子、待って」




背後から声が聞こえて、私の心臓が跳(は)ね上がった。


この声を、知っている。



ゆっくりと振り向くと、

「久しぶり、A」



夜風が吹き、" 彼 "の長い黒髪を揺らした。




『む、無一郎くん！？』



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