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『これは…私が鬼殺隊に入る3年前のお話です』


私の家族は父、母、私の3人家族。

悲劇は突然やって来るものです。

夜ご飯の時間には帰っておいで、と言われたのにも関わらず、私は遊びに夢中で時間を見ていませんでした。

気付いたら戌の刻、私は急いで帰路に着きました。

門を潜り、玄関に手をかけると開きました。

普段なら鍵がかかっているのに。

不審に思いながらも家の中に入ると異様なほど静かでした。

そして_____鉄の匂いがしました。


恐る恐る居間へ足を進めると…酷い有様でした。


壁一面に赤黒い血がこびり付き、父が倒れており、その前に招かれざる客がいました。

そしてそれはゆっくりと振り向き、私に手を振り口を開きました。

「ごめんねお母さん食べちゃった」と。

口元は真っ赤、血が滴り落ちていました。

私は恐怖よりも怒りが沸沸と自分の中に湧き上がるのを感じました。

気付いたら包丁を手に、客の腹を1刺ししていました。

そう、この時の私は知らなかった___客が鬼だと、そして頸を切らねば死なないとも。

鬼は笑みを浮かべ、そっと私が刺した包丁を抜き私の手の中に収めこう言ったんです。

「お嬢ちゃん威勢が良いね、少し遊ぼう」

私はそれから怒り狂ったように何回も何回も鬼の腹を刺しました。

刺して、抜かれる、この繰り返し。

何度か繰り返した時、鬼は突然包丁を投げました。

その包丁は嫌な音を立て父に刺さりました。

「今日は楽しかったよ、また会いに来るね」

そう言い残し、鬼は家を出て行きました。

残された私は両親の血で染まった部屋の真ん中で立ち竦みました。

そっとちゃぶ台の前に座り、茶碗に触れると温かかった。

ずっと私の帰りを待っていた両親。

玄関の戸が開いていたのはそういうことだったのか、と。

きっと私が帰って来たと思って鍵を開いたのだ、と。

『私のせいでパパとママが死んじゃった…』

その時背後から甘い優しい匂いが私を包み込みました。

「ごめんなァ、俺が遅かったせいでェ」

温かさで糸が切れたように私は泣きました。

そしていつの間にか寝てしまっていたようです。

目が覚めると知らない天井。

身体を起こすと、隣には白髪の傷だらけな男性が私の手を握って眠っていました。

じっと彼の顔を見ていると目が合いました。

「…おはよォ」

見た目から想像の出来ないほど優しい笑み。



私の中で歯車が動き出したのはこの瞬間でした。

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作者名:まろ | 作成日時:2020年7月7日 19時

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