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稽古場から出ると空は暗くなっていた。

胡「珍しいですね、Aが約束をするなんて」

____気付いてたんだ

『炭治郎なら…生き残れる気がして』


私達は常に死と隣り合わせ

遺書は既に書き終えている

だって、いつ死んでもおかしくないから____


胡「実は先日、炭治郎君とお話をしたんです」

『炭治郎と___』

胡「彼に私の夢を託そうと思いまして」

『___鬼と仲良くする、ですか?』

胡「____はい。禰豆子さんと炭治郎くんを見ていたら…きっと彼なら叶えられると思いまして」

しのぶさんは少し俯いた。


しのぶさんもまた私同様、鬼に最愛の人を殺された側の人間。

鬼に嫌悪感を持っている。

炭治郎に夢を託したのはきっと…


『私も彼ならやり遂げられると思います』

しのぶさんは顔を上げた。

『彼から優しい香りがするから』

胡「____Aと炭治郎は似ていますね」

『炭治郎も鼻が効くんでしたっけ、』

しのぶさんはゆっくりと頷いた。

胡「____そして心が綺麗な所も」


心が綺麗、?


『…そんな事ないですよ』



私の心の大半は醜い感情が占めているから、



胡「___自分の代わりにAが頑張ってくれていると思うと私は安心する、気持ちが…楽になる、」



そう言ってしのぶさんは私の肩に手を置いて扉の向こうへ消えた。



『___鬼と仲良くすればよいのに、か』

しのぶさんは強い

最愛の姉、カナエさんの願いを継いでここまで来たのだから。

私には到底真似出来ない。

両親を殺した鬼と仲良くなんて…死んでも出来ないだろう。


『カナエさんを殺した鬼はまだ生きてるのかな、』


ポツリと呟いた言葉は宙に消えた。

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作者名:まろ | 作成日時:2020年7月7日 19時

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