帰れる場所 ページ15
．
残ったのは
二宮さんと私。
和也 「 俺たちも帰りますか。 」
と言って
二宮さんは前を先に歩いた。
《 ほんと似てるね。 》
《 お前は笑った顔のが可愛いよ 。 》
その言葉が
頭の中でループしていた。
誰かと間違えてるのかな。
．
そう考えているうちに
お会計は松本さんが
払ってくれていたらしく
そのままお店を出た。
「 あ、松本さんに連絡しないと。」
和也 「 なにを？ 」
「 お支払いの件のお礼を … 」
二宮さんはあぁとか言って
タクシーを止めた。
．
タクシーに乗り込み
家に着くまで無言だった。
『 誰かと思ったら二宮さんじゃないですか。』
そうタクシーの運転手さんが言った。
和也 「 あ、お久しぶりです。本田さんでよかったです。」
タクシーの運転手さんとも
知り合いだなんて
ほんと有名人なんだ。
本田 「 あれっきりだね。あの時は二宮さんあわててね。」
和也 「 その話は大丈夫です。」
なんて笑っていた。
.
私、二宮さんのことなにも知らないんだ。
．
そう思った。
二宮さんのことなにも知らない。
知りたいって。
でも、そんな柄じゃない。
.
結局なにも話さずに
二宮さんの部屋まで沈黙のまま歩いた。
．
扉を開け、
なにを言わず
早速ベランダに出て
私は煙草を吸った。
.
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作者名：Sakura . | 作成日時：2016年9月1日 13時
