45 ページ45
スンチョルside
幼馴染という言葉は実に単純で、かつその人間同士の距離感を言い表すには持ってこいの言葉だと思う。
Aにとっていちばんの異性は俺だし、俺にとっていちばん可愛くて大事な女の子はAだ。これは間違いなく、昔から、今も。
確かに俺はユジンと付き合っているし、大事な人だ。
けれど、俺がAに抱く"愛おしさ"はまた別の話で。Aの中でのいちばんは俺であってほしいし、昔からそれが当たり前だと思っていた。
「……スンチョラ、顔に出すぎ」
「え？」
「そりゃAちゃんがお前以外の男と一緒にいるのなんて初めて見たし、驚くのはわかるけどさ〜」
どうやら、ジョンハンには俺の心の中がお見通しらしい。
ジョンハンの言う通り、Aが家族や俺以外の異性と一緒に出かけたなんて聞いたことがないし、見たこともない。
…まあ、俺が知らないだけかもしれないけれど。それでも、初めてそれを目の当たりにした俺は、どこかモヤモヤとした感情が芽生えていた。
幼馴染の距離というものは、実に近い。
もちろん、物理的にではなく。
一緒に過ごしてきた日々に代えられるものは、何も無い。
故に、知らなくていいことや気づきたくはないことまで、直感的に勘づいてしまうこともある。
「A、髪あげてた」
「ん？」
「髪高めに結んで、少し巻いてた。」
「……そうだっけ、覚えてない」
隣で興味のなさそうな顔で歩くジョンハンに、まじかよって呆れたら「俺はお前みたいにAちゃんのモンペじゃないからな」って若干嫌味っぽい返事だけが返ってきた。
「まあ、確かに高校ん時は下ろしてる日の方が多かったかもな。」
「だろ。Aがおしゃれする日なんて 俺と出かける時くらいだったし」
「うわ、また出たよ。」
若干引き気味のジョンハンの反応に俺は苦笑いを浮かべる。
ふと、昔の会話を思い出す。
＿ 『見て見て、オッパとお出かけするから髪結んだの！どう？』
＿ 「おお、結んでるのもやっぱり可愛いな。」
＿ 『でしょ？いつもより可愛く見られたいから結んだんだ〜』
＿ 「あはは、Aはいつも可愛いだろ」
俺だけに見せてくれていた表情とか、仕草とか。なぜかひどく昔のように思えて。
「… 妬けるなあ、」
そんな俺の言葉は、ショッピングモールを歩く人々の声で かき消された。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 755人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヨカ(プロフ) - naginaoさん» ありがとうございます！！わたし自身こういうスニョンくんが好きで早く付き合いたいな(早く付き合いたいな)と思いながら書いております…これからも楽しんでいただけるよう、頑張っていきます！ (2020年11月6日 21時) (
レス) id: 98bae9aaa0 (このIDを非表示/違反報告)
naginao(プロフ) - スニョンくんがどタイプすぎて凄くきゅんきゅんします。更新、作者様のペースで頑張ってください!応援してます! (2020年11月6日 19時) (レス) id: 75fb9f73cf (このIDを非表示/違反報告)
ヨカ(プロフ) - あのさん» ありがとうございます…！今後もかっこよくて少し不慣れなスニョンくんをお届けできたらなと思っておりますので、何卒よろしくお願いします(*´`) (2020年11月3日 11時) (レス) id: 98bae9aaa0 (このIDを非表示/違反報告)
あの(プロフ) - すにょんくんがかっこよくてすんごいときめいてます、、、更新ありがとうございます！ (2020年11月3日 8時) (レス) id: b801a6e004 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヨカ | 作成日時：2020年10月27日 21時
