005. トモダチ以上コイビト未満 - 5 ページ5
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「 …好きなんだよね、Aのこと 」
想像していたものと全然違う言葉が
龍也の口から発されて、驚く自分がいる。
だけど、それだけじゃなかった。
龍也は以前私の顔を見据えたまま、
真剣な表情でつづけた。
「 …俺、実はさ…気づいてた 」
何を？
言いかける前に、龍也は目を伏せて
真っ直ぐベッドに座り直し、こう言った。
「 昨日の朝。Aが…言ってたの 」
私は思い出した。
龍也が聞こえてないと思って油断して
口に出してしまった言葉が、まさか
本人に伝わっていたなんて思わなかった。
「 目が覚めてぼんやりしたときだったから…
もしかしたら勘違いかもしれないけど 」
龍也はつづけた。
「 俺、ずっとAのことばっかり考えてた。
でも俺達は所詮はカラダだけだから…
言っちゃいけないって、Aもその程度に
しか考えてないって、そう思って。… 」
再び私の方に顔を向けて、今まで見せた
ことのないような儚げな顔で、龍也は
私の頬に手をそっと添えた。
「 …でも、Aが言ってるの聞いて…
胸が苦しくなって、どうしようもなくなって 」
龍也の顔が近づいてくる。
私はそっと目を閉じ、龍也を受け入れる
準備をした。
「 …Aは俺のこと、どう思ってるの…？ 」
耳元で囁かれて、まるで背中に電流が
走ったような感覚が私を襲った。
「 もういっかい聞かせてよ、… 」
目を開けると、今までの余裕が
どこに行ったのか分からないくらい
張り詰めた表情の龍也が私と鼻が
ぶつかりそうなくらいの距離で
視界に飛び込んでくる。
「 …すき、…だいすきだよ、龍也… 」
龍也と私の距離が、0センチになった。
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作者名：ももち | 作成日時：2015年8月29日 18時
