観察日記 (ページ6)

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観察＃６ページ6

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「Aヌナー！ソクミナー！」
「ミンギュー！」

遠くから背の高い男が叫んでいる。朝からうるさい彼の名はキムミンギュ。ソクミナと同じクラスの友達。ソクミナと揃えばうるささ倍増。

ミンギュは私たちに駆け寄ってきて「おはよう！」と眩しい笑顔を見せた。ソクミナには負けるけど。

「え、なんか二人して目赤いけどどうしたの？」
「ソクミナに泣かされたの」
「え！？Aヌナ泣かせたの！？」
「ちょっとヌナ！それ誤解！」

ミンギュは察したのかそれ以上は聞いてこず、何事も無かったかのようにそのまま歩き出した。

いつもこの三人で並んで歩いているからか、先生も「仲良いなー」といつもケラケラ笑っている。正直言うといい気はしない。なんせこの男……キムミンギュは、俗に言う"イケメン"の部類に入る。ほら、今も。

『ミンギュくんおはよ〜』
「あ！おはよー！」
『宿題やった〜？』
「やってない！」
『見せてあげよっか？』
「え！ほんと！？助かるー！」

いろんな女の子に囲まれている。ミンギュも優しいからか突き放すことを知らない。そのせいでミンギュを好きであろう女の子からの視線がすごい。

いつ絞められてもおかしくないよなあ、なんて苦笑いを浮かべていると「ヌナ、」と呼ばれた。

「ヌナは僕が守るから大丈夫だよ〜」
「……じゃあ大丈夫だ(笑)」
「もうミンギュなんて置いてこ〜！」

「また後で！」とミンギュに声をかけてソクミナに手を取られて校舎まで一直線に走る。後ろから「ちょっと待ってよー！！」なんて声は聞こえなかったことにしておくね。

　

「じゃあヌナ、また帰りね！」
「うん、またね」
「あ、ウォヌヒョンにまたゲーム教えてって言ってて！」

ご丁寧に教室まで送り届けてくれたソクミナに手を振って教室に入る。教室に居るのはまだそこまで多くなかった。

小さなため息を吐いて自分の席へ向かうと、朝からゲームしていた男がこちらへ振り返った。

「おはよウォヌ」
「うん」
「またゲーム？」
「ご名答」

チョンウォヌ。ピコピコと鳴る携帯を手にする彼は毎休み時間にゲームしてるくらいのゲーマー。そんなウォヌとはこれでも小学生からの仲で、

「目赤いな」
「うん、ちょっと色々あって」
「…無理すんな」
「ありがとう」

唯一、事情を知っている人。

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