観察日記 (ページ11)

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観察＃９ページ11

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「ほれ、ココア」
「本当にくれるんですね(笑)ありがとうございます」
「無理言って来てもらったし……それと、ごめん」
「スンチョルさんは悪くないです、大丈夫ですよ」

あの話をしてからスンチョルさんは私の顔色をずっと伺いながら働いていた。正直私はそこまで気にしていなかったけど、スンチョルさんは気を遣って休憩も5分多くしてくれたり、今も冗談で言ったココアを本当にくれた。

ソクミナ達が来るまで時間もあるし、とその辺にあった椅子に座るとスンチョルさんも少し空けて隣りに座った。私と同じココアを持ってフーフーしながら飲んでるんだけど…

「……あっつ！」
「え？…スンチョルさん猫舌なんですか？(笑)」
「悪いかよ！……頼むからそのニヤニヤした顔でこっち見んな腹立つ！」
「スンチョルさんって歳上だけど歳上っぽくないですよね、よく言われません？」
「要するに馬鹿にしてるってことでいい？」
「やだなぁ人聞きの悪い」
「そういうとこだぞ」

ジト目のスンチョルさんなんて全く怖くない。スンチョルさんも笑っている私を見て安心したような顔を見せた。責任感の強い人だから、きっと今日のことを気にしてるんだろうな。

一通り笑って静かになると、スンチョルさんは「あのさ、」と一息置いて話し始めた。

「この間、ソクミナに言われたんだよ」
「ソクミナが何か言ったんですか？」
「"ヌナ、最近疲れてるから無理してたら止めてほしい"って」
「…それってどういう、」
「あいつはAが思ってる以上にAのこと、ちゃんと見てるし気にしてるってこと」

「あんな弟がいて幸せ者だな」と笑ったスンチョルさん。いつだってソクミナは私を気にかけてくれて、私を一番に考えてくれて。今までのことを思うと涙が止まらなかった。

「いや、え、泣かせるつもりはなかったんだけど」
「私だって泣くつもり無かったのに…」

ごめんごめん、って私の頭をあやす様に笑いながら撫でたスンチョルさんは本当にお父さんみたいで、それでも少し泣けた。

『Aさんまだいます？……ってなんで泣いてんすか！スンチョルさんに泣かされたんですか？』
「なんで俺なんだよ！…いや、あながち間違いではないかも…」
「あくびしただけです(笑)何か用ですか？」
『あ、そうそう！Aさん呼んで欲しいっていうお客さんがいて！』

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