可愛い俺の獣人達

16話 ページ17

柊たちと別れ今研磨と風呂に入っている。
久しぶりに暖かい風呂に入ったのか研磨の目はトロンとしている。


『気持ちいいか？』

研磨「うん。」


あまりに嬉しそうに頷いてくれるから俺も嬉しくなった。
湯船に浸かりながら色々話をした。
最初とは見違えるほどニコニコ笑っている研磨。


『(可愛い)』


そう思いながら一生懸命話す研磨の頭を撫でた。
目を細め、喉を鳴らし気持ちよさそうにしている。


しかし、暫くすると研磨は少し暗い顔をした。
俺は不安に思い研磨に『どうした？』と聞いた。
研磨は戸惑った表情をしたが少しずつ口を開いた。


研磨「あのね、A」

『ん？なんだ？』

研磨「京治と英の話なんだけどね。聞いてくれる？」


研磨の声は震えているように感じた。
余程2人の話が壮絶なものなのだろうか。
だが、俺は京治と英の事が少しでも知れることが出来るならと思い、研磨に教えてくれと頼んだ。


研磨「京治はね、俺たちの中で1番警戒心が強い。それに京治には正義感もある。
俺と京治が同い年で、英と蛍が一個下。だから、いつも京治が俺たちを守ってくれてた。俺も京治と同い年なのに京治に助けられてばかりだったの。

英はね、笑わない。
オークションに出品される前まではよく笑っていたのに今じゃ英の笑顔を見たことがない。常に無表情。仲間の俺たちですら読み取ることが出来ない。

ねぇ、A
俺と蛍を闇から救い出してくれたみたいに京治と英も救い出して？お願い。」


研磨が目から大粒の涙を流した。
仲間のことを思っての涙はとても綺麗で儚いものだ。
俺は研磨を抱きしめた。


『ああ、必ず京治と英を心の闇から救い出してみせる。約束する。』

研磨「Aの言葉は信用出来る。だから2人を助けてね。待ってるから。」


俺のことを頼りにしてくれている。
その期待に応えなければならないなと研磨と笑い合い、俺たちは風呂から上がった。

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