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「...さっさと終わらせようぜ、眠くて仕方ねぇ。」
「あら、眠れるお姫様だって体に鞭打って起きたってのに...だらしない人ね。呆れちゃうわ。」
レオナはわざとらしく、やれやれとでも言うような様子で首を振り、肩を竦めるメイサを見て、「こいつも俺が王子だって知ったらマシな態度くらいは取れるのか?」と少し疑問に思った。
対するメイサは余裕気な笑みを浮かべているものの、連戦の疲労からか、内心ではぐったりしながらも相手にそのことを気取られないように表情を取り繕うのに必死であった。
「先程の試合は実に見応えがありましたね、流石三年生寮長です!では、鏡が地面に落ち、割れればスタートとなります。」
学園長が鏡を片手に拍手をしながら意気揚々とやってきた。
レオナは気怠げな表情で再度欠伸を溢し、メイサも疲れを気取られないようにと再度背に力入れ、シャンと姿勢を正した。
学園長の手から鏡が離れ、次の瞬間にはカシャリと寂しい音を鳴らして破片を撒き、砕け散った。
途端にレオナへの声援が沸き起こる(特にサバナクロー寮生が集まる席からは煩い程に)。
メイサは先手必勝と言わんばかりに呪文を繰り出したが、レオナはその呪文を魔法も使わずに避けた。
底無しと見える魔力を持ち、ブロットの蓄積も見られないメイサを相手にするのだから、なるべく魔力の消耗とブロットの蓄積を避けたいレオナは最小限の力以外は出さないようにしていた。
「(俺は初戦だが、あいつは五戦目。注意力も集中力も切れやすくなってる筈だ。切れるまでは力の消耗を最小限に抑えた方が良いか...あの底無し魔力の脳筋女相手に真っ向から勝負なんてしてたら俺の魔力が持たねぇ。それこそ馬鹿だ。)」
レオナは面倒くせぇ、と小さく呟き、舌打ちをした。
そして予め用意されていた箒に飛び乗った。
普段からマジフト部として活動しているレオナからすれば箒に乗りながら魔法を使うことなど日常茶飯事であったため、空中戦の方が幾分かマシだと判断した上での行動であった。
メイサも敵に高所を取られては戦闘が不利になると考えたのかレオナよりも更に上へと浮かび上がった。
「(それだけ高度を上げりゃあ維持するのに集中力も魔力も必要な筈だ。高所を取られたのは痛いがまあ良い。)」
メイサはレオナよりも高所を取ったことへの安心を表情に滲ませ、一定の距離を保ちながらレオナと空中戦を繰り広げる。
どれだけ飛び回ろうがメイサはレオナよりも高い所を譲らない。
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