闇の帝王の娘と捻れた世界【ツイステ】【HP】 (ページ29)

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「...吹き飛べ。」

メイサは少し速度を落とした呪文を放った。
それはアズールの張った水の膜にぶつかり、あわや跳ね返されるかというところで水の膜ごと、アズールが吹き飛んだ。

「賢い貴方なら分かるかと思った。呪文が対人だけじゃないって。あぁ、でも柔は剛を制す、っていうのを利用した水の膜を張ったのは素晴らしかったわ。」

「...」

メイサは上空へと浮き上がり、アズールに話しかけた。彼女は見破っていた、アズールが恐らく飛行術が苦手なのだろうということを。

それ故に油断していた。気付かなかった。そこはまだ呪文の射程圏内であるということを。
アズールはわざと呪文の射程圏内の限界までの距離の魔法を放たなかったのだ。

アズールは悔しげな表情を浮かべ、片膝をついていたかと思うとニヤリと笑みを深めた。
メイサはアズールの表情を訝しげに思ったものの、呪文は届かないだろうと防衛魔法は張らなかった。

次の瞬間、メイサめがけて大樹が上り龍の如き勢いで伸びてきた。
メイサはしまった、と言いたげな表情で慌てて防衛魔法を張ろうとするが遅いと判断し、姿くらましへと呪文を切り替えた。
そして、姿あらわしでアズールの背後へ周り、呪文を放った。すると、アズールはまるで縄で縛られたような動きをし、横にパタリと倒れた。

「...油断してたわ。ローズハートくんとはまた違った厄介な子ね。」

「お褒め頂き光栄です。」

アズールは縛られたような姿勢のまま、ニッコリと深い笑みを浮かべた。