２．初対面、ご対面。(2/4) ページ5
.
友達、によって孤独が緩和されたのも束の間、笹木さんはクラスが分かれてしまった友達と昼食をとるらしい。心優しい彼女からは「ササちゃんも一緒に、」とお声がけいただいたが、丁重にお断りした。交友関係は、最低限でいいから、広げない。
とはいえ、高校入学から1週間が経過し、流石の私も毎日便所飯は気が滅入ってきたところだ。高校生活における憧れのスポットといえば、屋上。目的地が決まれば、私は弁当を片手に階段を登りすすめる。上の階は先輩達しかいないから、気配をなるべく抹消する。抜き足、差し足、忍び足。人の気配がして、そっと物陰に身を隠した。
「────ねえ、イケメン新入生の噂聞いた？」
「────聞いた聞いた。長身白髪赤目の方でしょ？めちゃくちゃかっこいいけど、超スタイルいい彼女いるらしいじゃん」
「────それだけじゃないって、小さい女の子も連れ回したりしてるんでしょ？」
「────えー、絶対デマだって！それより絶対一緒にいる茶髪の男の子とデキてるね。抱き合ってるのみたもん！」
うわさは、厄介だ。信憑性はないのに即効性はある。その癖うわさを取り払うには時間がかかる。発言者は真偽の責任を負わない、遊び道具にされた本人にツケが回る。心の中でまだ見ぬ「長身白髪赤目」に南無阿弥陀仏を唱えながら、女子の先輩集団に見つからないように足早にその場を去った。
屋上は、安全面の配慮から南京錠がなされていた。よくよく考えれば当たり前なのだが、期待を寄せていた分ショックが大きい。しょぼ、と視線を下げると、頑丈そうな南京錠が目に入る。が、よくよく目を凝らしてみると、この南京錠、
『(引っ掛けてあるだけで鍵が掛かっていない！)』
仰々しい雰囲気に騙されそうになったが、どうやらただの子供騙しだったようだ。そうと分かれば早速侵入するべし、錆び付いたドアを開けると、春のぬるい風が舞う。そこには、こちらを振り向く、特徴的な姿が太陽に照らされていた。
長身、白髪、赤目────……。
『な、南無阿弥陀仏…………』
屋上にいたのは、間違いなく、例の噂の張本人だった。
２．初対面、ご対面。(3/4)→←２．初対面、ご対面。(1/4)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 882人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「2j3j」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くう - 好きです！続きが気になるのですが、更新の予定はありますか？… (2022年8月31日 20時) (
レス) @page13 id: b51b4630d2 (このIDを非表示/違反報告)
人生最高チャンネル(プロフ) - ただの阿部担@まぐろみかんさん» 読んでいただきありがとうございます！初めてコメントいただいたので嬉しいです。長くなると思いますがどうか最後までお付き合いください；； (2021年8月28日 0時) (レス) id: 4d332fd3a4 (このIDを非表示/違反報告)
ただの阿部担@まぐろみかん(プロフ) - え、え、好きです……好きです、ハイ、愛してまs((更新頑張ってください！ (2021年8月27日 21時) (レス) id: 341728400e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：人生最高チャンネル | 作成日時：2021年8月18日 5時
