４．きっかけは、(3/3) ページ13
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地面との激しい接触に備え、咄嗟に受け身をとるも、不思議と痛みはなかった。恐る恐る目を開けると、私は葛葉さんを下敷きにする体勢で這いつくばっている。葛葉さんが私を庇って抱きとめてくれたのだと気付くのにそう時間は掛からなかった。その際に出来たのであろう、手の甲にできた傷から流れる血を視界の隅に捉えると、すーっと血の気が引き顔面蒼白になる。
『ち、…血が……』
「…あー……うん、大丈夫、す。それより、割と質量ある、んすね、…」
『き、筋トレしてる、から。ムキムキになりたくて、プロテイン飲んで、それで、…じゃなくて！』
猫毛いじりのお返しに体重をディスられた気がするが、まず怪我をさせた謝罪すべき。と、緊急事態で働かない頭に舵を切ろうとするも、目の前の葛葉さんがふはっ、と吹き出したことによりまた思考が停止する。ああ、この人はこういう風に笑うんだ。普段とは違うどこかあどけないその表情に、つられて顔が綻んだ。
「意外と喋るよな、ササちゃん」
────…お前はもう喋るな、
冷たい声、怖い人、過去の記憶が反芻する。喋ってはいけない。しゃべってはいけない。喉奥がきゅう、と絞まり、言葉が出てこない。息が詰まる。
「？……ささちゃ、」
『〜っ、……』
未熟な私は過去のトラウマに為す術なく、呆気に取られる葛葉さんを置いてその場から立ち去ってしまった。
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『はあ、…』
怪我させておいて、逃走。不躾にも程がある。帰宅し落ち着きを取り戻すと、自分の失態に溜息を吐いた。謝りたい気持ちは山々だが、彼に学校で接触するにはあまりに危険すぎる。
手癖でSNSを開くと、フォロワー欄の「K」というアカウントに目がいく。確か葛葉さんの妹？のアカウントだったはず。恐らく「黒野」という苗字からアカウント名を「K」にしたのだろうが、如何せん名前が分からない。確か「サーニャ」と言っていた気がするが、見ず知らずの女からあだ名で呼ばれる恐怖を考えると「妹さん」が無難そうだ。妹さんには申し訳ないが、謝罪を送ることにした。
今思えば、私たち二人の距離が縮まるきっかけはこの出来事だった。
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『妹さん、突然のDMすみません。葛葉さんの同級生の佐々木という者です。私のせいで葛葉さんに怪我をさせてしまったので、ごめんなさいとお伝えください。また、妹さんへのメッセージでの謝罪となり、申し訳ございません。お手数をお掛けしますが、よろしくお願いします。』
続く (更新停止中)
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くう - 好きです！続きが気になるのですが、更新の予定はありますか？… (2022年8月31日 20時) (
レス) @page13 id: b51b4630d2 (このIDを非表示/違反報告)
人生最高チャンネル(プロフ) - ただの阿部担@まぐろみかんさん» 読んでいただきありがとうございます！初めてコメントいただいたので嬉しいです。長くなると思いますがどうか最後までお付き合いください；； (2021年8月28日 0時) (レス) id: 4d332fd3a4 (このIDを非表示/違反報告)
ただの阿部担@まぐろみかん(プロフ) - え、え、好きです……好きです、ハイ、愛してまs((更新頑張ってください！ (2021年8月27日 21時) (レス) id: 341728400e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：人生最高チャンネル | 作成日時：2021年8月18日 5時
