４．きっかけは、(2/3) ページ12
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『うぐぐ……』
背中を丸めた葛葉さんの上に乗っても、お世辞にも高いとは言えない私の身長では枝に届かない。
『…………うーん』
もちろんおんぶなんて以ての外。
『…………』
運動会の組体操のサボテンの体勢もダメ。
ダメ、ダメ、ダメ。
『全然駄目だ……』
ありとあらゆる手段をとっても、子猫のいる枝の高さまで届かない。もはやどこかの民家から脚立を拝借した方がいいのではないか、と思案していれば、木影で項垂れていた葛葉さんが意を決したようにこちらを向いた。
「…、肩車」
『え』
「かたぐるま゛！」
いや聞こえてはいるんだけど。うん十年ぶりに聞く単語に、少し動揺しただけだ。そんな私を置いてけぼりにして、葛葉さんは既にしゃがみこんで背を向けている。
『(耳が赤い、気がする。)』
おんぶの時もそうだったけど、きっとこの人は女性が得意ではない。あれほどまでに人気なのに、女性慣れしていないとは意外だ。そして、女性に耐性がないのに、女の私に声を掛けてまで子猫を助けようとする、正義感の強さもまた意外だった。
そんなことを思いながら、葛葉さんの制服を汚さないように靴を脱ぐ。華奢な身体とは裏腹にしっかりとした首に、体重をかけないよう細心の注意を払って跨る。最終的に全体重を預けることになるから、あんまり意味はないんだろうけど。内腿に葛葉さんの体温を感じて、なんだか擽ったい。
「…いい？立つよ、せーのっ、」
『う、わあ…』
葛葉さんが立ち上がると、いくら体幹に自信がある私でもいっきにバランスが不安定になり恐れ多くも頭を掴む。白い髪の毛は、柔らかい猫毛で、ふわふわと柔らかい。
『いい匂いがする』
「んえ、」
『猫毛は、将来ハゲるらしい』
「……エッ、急にディスるの何すか？え？」
『おいで、ねこ』
うるさい土台を置いて、子猫に手を伸ばす。我々に敵意がないことを理解しているのが、子猫は案外すんなりと私の腕に収まった、……かに思われた。
────ニャ゛！
『え、』
すとん、と地面に降り立つ子猫。子猫が腕から飛び出た勢いで体勢を崩す私。予期せぬ事態に支えが間に合わない葛葉さん。
『(自分で降りれるんかーい…)』
落ち、る。
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くう - 好きです！続きが気になるのですが、更新の予定はありますか？… (2022年8月31日 20時) (
レス) @page13 id: b51b4630d2 (このIDを非表示/違反報告)
人生最高チャンネル(プロフ) - ただの阿部担@まぐろみかんさん» 読んでいただきありがとうございます！初めてコメントいただいたので嬉しいです。長くなると思いますがどうか最後までお付き合いください；； (2021年8月28日 0時) (レス) id: 4d332fd3a4 (このIDを非表示/違反報告)
ただの阿部担@まぐろみかん(プロフ) - え、え、好きです……好きです、ハイ、愛してまs((更新頑張ってください！ (2021年8月27日 21時) (レス) id: 341728400e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：人生最高チャンネル | 作成日時：2021年8月18日 5時
