次郎と万千代 ページ15
史実とズレてるところ多いかもしれない。養子縁組は家督相続の時の手続きの一つでしかないけど、それでも直政さんの前では立派な母で在りたい思ってる直虎さん。
❀´-
「母上!!」
珍しく元気の良い母から「私の部屋で碁でも打とう」と誘われ、後ろを歩いていれば、バタリと音がして目の前にいた母が足元から力なく崩れ落ちた。
元気だと思われていたものの、よく見てみれば顔色も僅かに悪く、足元もおぼつかなかった。
慌てて駆け寄ってきた侍女に母を任せ、自分は母が戻るまで仕事を引き継ぐ為に家臣達の元へと向かう。
「どうかご無事で。」
運ばれていく母を振り返り、胸の内で祈った。
❀´-
「ご無事でしたか。」
「不満か?」
「いいえ。ご無事なようで安心致しました。」
暫し部屋で安静にしておるように、と医者から釘を差されたので、横たわって外の景色を眺めていると、カタリと襖が開く音がして万千代が入ってきた。退屈だった所に来てくれたので思わず顔が綻ぶ。万千代はそんな私に呆れたのか肩を竦めて溜め息を付いた。
「おいで」と手招きし、傍に座らせる。
「そろそろ私の先も、長いものでは無くなってきた。そろそろお主にこの井伊の領地を預け、元服を行わねばならんと思うてな。」
「それで、無理をしすぎて倒れたと。」
「ふふ、母の意地ぞ。」
直政に向かって手を差し出すと静かに握ってくれる。表情一つ変えず、冷たい性分と散々言われている割には温いこの子の手に少し安心する。
家康殿に出仕させることには成功したことだし、いつかこの子が立派な領主となり井伊谷のみならず、他の国も治めていく姿を見れるかもしれないと思うと楽しみでならなかった。
「お主が、いずれ立派な武士となってくれることを楽しみにしておるぞ。」
「...貴方にそう言われてしまえば必ずや立派な武士となる外御座いませぬな。」
少し呆れたような表情を浮かべる万千代がその容姿も相まって可愛くてならず、僅かに目を細めてしまう。
この子の本当の母に勝るようなことは何もできないし、この子の本当の母にはなれない。だが、形だけでも良い、本当の母に勝ることなどできなくて良い、ただ、この子の行く末を間近で見ていたい。
「...もう良い、下がれ。」
「はっ。」
万千代を下がらせ、ホッとして肩の力を抜いた。
足音が遠のいていくのを耳にしながらそう長くない自身の終わりを痛感した。
「どうか、お主の向かう先に、幸多からんことを願うぞ、万千代。」
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雪 - 麗鳴さん» こちらこそ、有難うございました！ (11月25日 21時) (
レス) id: e773ddd9f3 (このIDを非表示/違反報告)
麗鳴(プロフ) - 雪さん» はい、こちらもCSの方に記載をさせて頂きます。素敵な関係を組ませて頂き有難う御座いました! (11月25日 19時) (レス) id: 1791397141 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 麗鳴さん» 了解しました。他に大丈夫でしたら、CSに記載させていただいてもよろしいでしょうか？ (11月24日 20時) (レス) id: e773ddd9f3 (このIDを非表示/違反報告)
麗鳴(プロフ) - 雪さん» 了解致しました。こちらからは「氏康さん」と呼ばせて頂きたいです。 (11月24日 19時) (レス) id: 1791397141 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 麗鳴さん» 了解しました。では、呼称に移らせていただきますね。氏康からは、「早輝ちゃん」「早輝」、と呼ばせていただいてもよろしいでしょうか？氏康のことは好きにお呼びください。 (11月23日 11時) (レス) id: e773ddd9f3 (このIDを非表示/違反報告)
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