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今、夢にまで見た愛しい愛しい彼女が俺の腕の中に居る。その事実が未だ信じられなくて、抱きしめる力を強くした。首筋に顔を埋めるようにすれば、頬に彼女の柔らかい髪が当たって少しだけ擽ったい。
「……俺、シノギにずっと言いたかった事があるんだ」
ぴくん、と彼女の細い肩が揺れた。
「奇遇だね、私も花子くんに言いたい事があるの」
そっと俺の腕を外して、くるんと振り返って。そして、その小さな両手で俺の右手を包み込んで頬に当てた。あたたかい彼女の体温が伝わってくる。
生きてる。
改めてそう実感して、胸のずっと奥のところがぎゅうぎゅうと締め付けられて、抑えていたものが溢れ出しそうになって。ぐっと唇を噛んで我慢した。
「私から先に言ってもいい？」
「……ドーゾ」
ありがとう、とふにゃりと微笑む。こんなに近くで彼女の笑顔を見るのは初めてだった。
「私、ずっと花子くんとつかさくんを重ねていたの。だから、怖くて、怖くて。でもね、本当は分かっていたの。花子くんとつかさくんは違うって。花子くんは私を傷つけたりしないって。それでも、机さんこぶんの距離を壊せなかったのは私が弱かったから」
ぽつん、と俺の右手に雨が降ってきた。それはどんどん俺の手を濡らしていく。
「私、いつか君を拒絶してしまうんじゃないかって。いつか君に愛想を尽かされてしまうんじゃないかって。怖くて怖くて、叫んでしまいそうだった。でもね、どうしても諦めきれなかったの」
あたたかくて柔らかい頬に当てられた手を痛いほどに握りしめられる。
「だって、だってね。私、君と一緒に空を飛びたかったの。枝を結びたかったの。私ね、ずっと花子くんの事が好きだったんだよ」
――息が止まった。
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咲楽 - こんばんわあ！！私この作品読んでると思うのが「話の内容神過ぎん？」ですね！物凄く応援してます！でわ (2022年1月23日 22時) (
レス) @page20 id: 537881732c (このIDを非表示/違反報告)
埜々(プロフ) - 眠り兎さん» ありがとうございます。実は主ちゃん側のお話も考えていたのですが、力が入りすぎて長くなってしまったので断念しました笑 遅い更新ですが、頑張りますね´`* (2020年3月27日 22時) (レス) id: 63e33ac70b (このIDを非表示/違反報告)
眠り兎(プロフ) - とても面白いお話でした！読んでて楽しかったです！！バットエンド、夢主ちゃんが何かなるのかなと思っていたらまさかの花子くんサイド＋世界観がまた違くなるものになるとは思いもしませんでした…！次の更新も応援しています！ (2020年3月24日 4時) (レス) id: 8689215010 (このIDを非表示/違反報告)
埜々(プロフ) - 名前さん» ありがとうございます。そう言って頂けるととても嬉しいです´`* 本編よりも甘いふたりを書ければいいな、と思っております。頑張りますね (2020年3月20日 22時) (レス) id: 63e33ac70b (このIDを非表示/違反報告)
埜々(プロフ) - れもねーるさん» ありがとうございます。駆け足であまり納得のいく最後ではありませんでしたが、どうにか完結出来ました´`* まだ書きたい事は沢山あるので、頑張ります (2020年3月20日 22時) (レス) id: 63e33ac70b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埜々 | 作成日時：2020年3月6日 22時
