41.私に罰を与える鼠 ページ41
*
「あなたは彼に好意を抱いている。何故です？」
言葉が先に出た。
「太宰くんが、いつかわたしの罪を昇華してくれる気がするから」
淡々と出た言葉は、まるきり「哀」を象徴していた。やはり演技が下手になった、と思ったのである。言う気なんて無かったのに、言葉が先行するから手立てなんて存在しないのである。
「罪は告白され、罰せられなくてはならない。あなたはそうお考えですか？」
「それは......当たり前じゃない？」
「いいえ。元来、罪と罰は仲良しなのですから。ナポレオンのような選ばれし強者は、社会のために道徳律を踏み越える権利をもつ。つまり、あなたのことです」
「最高位『超越者級』の異能を持つ、ポートマフィア準幹部兼幹部補佐の宮坂蕉雨、もとい中原Aさん」
突如、ひやりと背筋が氷の一片で撫ぜられたかのような感覚が襲う。
彼の方に手を向け、「言え」と言わんばかりにアイスブルーの瞳で追い詰めた。
「その異能と宮坂の情報源はどこ、ドブネズミ。その情報はポートマフィアの最上級クラスの人間……首領とうちの幹部のみしか知らないはずよ」
驚く程に頭が回転した。
これは罰への恐怖が私を痛めつけているのであり、自分を蝕む罰への恐怖は
「分かった、Aね。あの人、ずっとコソコソ幹部の情報を嗅ぎ回ってたみたいだったから。首領への忠誠心もなければ、こんなこともしていたのね」
奥歯をぎりぎりと噛む。「怒」。
もう演技はきっとほとんど出来ない。
残されたのは「喜」を素で表現することだけ。
ならば、そんなわたしが宮坂だとバレない日など存在するのか？
いつか来る罰。敵方のドストエフスキーにそれがバレたことを酷く恥じ、それが間近に迫ってきているのを感じた。
わたしは、ずっと苦しい。
「しかしそれでも納得が行かないのであれば、ぼくがあなたを救済します。罰による罪の救済は必要ない。だけれどそれが嫌なあなたは、ぼくを頼るしかありません」
は、と息が漏れた。
「ともに、異能力のない世界を作りましょう」
希望の光が、ここにあった。
まるで彼が救世主かのように見えた。
いつの間にか異能を解いて、気が付けば私は彼に懇願するように彼の手を自分の頬に当てていた。
私を助けてくれる、太宰くんに替わる人物。
これが最適解だ。
「それは、素敵な提案ね」
*
あなたの温もりを、忘れない→←40.わたしたちはどこか似ている
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宮古みなこ(プロフ) - 黒灰白有無％さん» 返信遅くなってしまい大変申し訳ありません😭キスが精一杯のプラトニックラブを描いているつもりなので綺麗な物語と言って頂いてとても嬉しいです！私もごごりのシーンは懲りました！内容は超考えてるので更新頑張ります！本当にありがとうございます。💦 (9月29日 22時) (
レス) id: 3762c357ba (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無％(プロフ) - 失礼致します題名に惹かれまして1から拝見為せて頂きました!綺麗な物語というイメージが大きいです.ゴー/ゴ/リとの絡みが特に大好き過ぎます！！綺麗で且つ迚も面白かったです！！続きも楽しみに仕手おります無理は為さらないで下さいね.これからも応援しております！！ (9月15日 15時) (レス) id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
宮古みなこ(プロフ) - 風花さん» ちょうど読み返していたところでした❗️コメントを頂きありがとうございます。現在続きを作成中です！！！待っていて下さって大変感謝しかありません。もう暫くお待ち頂けると嬉しいです！前作に引き続きありがとうございます！ (9月4日 23時) (レス) id: 3762c357ba (このIDを非表示/違反報告)
風花(プロフ) - やはりこの作品は面白い！！続きを楽しみにお待ちしております！！ (9月4日 12時) (レス) id: 093315c16a (このIDを非表示/違反報告)
kurumi - こちらこそ、返信有り難う御座います。しょうう、と読むのですね。どうも、人名を読むのは不得意なものでして…😅 (8月19日 10時) (レス) id: 36a2ebbf69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：砂糖やよい x他1人 | 作成日時：2023年7月11日 21時
