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5.偽物の愛と本物の愛の邂逅 ページ5

*



 地下へと下る階段を、一段一段コツコツとブーツのヒールで音を立てながら下っていく。あまりの埃臭さにAは顔を顰めた。然し、そこにいる、壁に括り付けられた一人の人物と視線を交わし、ぱああっと一転、顔色は明るくなる。


「久しぶりだね、六年ぶり?太宰くん」
「ああ……Aちゃん?相変わらず綺麗だね、人形みたいで」


 相変わらず、という言葉以降に含みがあるような気がしてならないが、Aは口角の角度を下げることなく、受け流すように言葉を連ねる。

「ありがとう。背伸びたね、太宰くん」
「中也は背は伸びたかい?」
「うーん……伸びると思う?」
「思わないねえ」
「でしょ?」


 ふふふっと口元に白魚のような手を当てて笑う姿はこの上ないくらいに美しく、この血腥い空間と彼女では視覚的に隔離してしまうくらいに似合っていない。視線が混じり合い、アイスブルーの瞳は足元へ落とされる。


「……ずっと、会いたかったよ」


 薄く開かれた瞳からは、慈愛のものが読み取れる。口では率直にものを言うのに、その瞳の奥や白い髪の毛を弄る仕草からは少しだけ恥じらいが見えて、太宰は一瞬でも心臓が跳ねるような心地を覚えた。


「どうして私にそこまで執着する?」
「愛してるからだよ」

 太宰とちょうど顔と顔同士が、角度を変えずに正面を向いて見えるところで足を止めて、声色を変えずに彼女は言葉を発する。


「愛してるから、逃したくない。普通のことでしょう? 辛かった、この数年間。2年越しに目が覚めたら太宰くんはポートマフィアから逃れてた。あなたのことだから死んではいないだろうなあと思ってたけど、わたしはずっと気が気じゃなかった。だって、あなたは二人といないんだから」

「へえ。それは、熱烈な愛の言葉だね」

「あなたとのなにか……確固たる繋がりが欲しい。それはどんな関係性……そうだね、恋人、っていったら良いのかな」

「わたしと恋人になってよ、太宰くん」


 こいびと。太宰は口を閉じたまま、舌の上でそのひらがなの文字列をなぞった。うーーん、と太宰は目を閉じて、一言だけ笑い混じりに述べる。


「それは、魅力的なお誘いだね」


 じゃあ、とAが開口しようとした、その時。そのタイミングを読んだかのように、太宰はどろりとした目つきで彼女の頭の上から足元をなぞった。



*

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宮古みなこ(プロフ) - 黒灰白有無%さん» 返信遅くなってしまい大変申し訳ありません😭キスが精一杯のプラトニックラブを描いているつもりなので綺麗な物語と言って頂いてとても嬉しいです!私もごごりのシーンは懲りました!内容は超考えてるので更新頑張ります!本当にありがとうございます。💦 (9月29日 22時) (レス) id: 3762c357ba (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無%(プロフ) - 失礼致します題名に惹かれまして1から拝見為せて頂きました!綺麗な物語というイメージが大きいです.ゴー/ゴ/リとの絡みが特に大好き過ぎます!!綺麗で且つ迚も面白かったです!!続きも楽しみに仕手おります無理は為さらないで下さいね.これからも応援しております!! (9月15日 15時) (レス) id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
宮古みなこ(プロフ) - 風花さん» ちょうど読み返していたところでした❗️コメントを頂きありがとうございます。現在続きを作成中です!!!待っていて下さって大変感謝しかありません。もう暫くお待ち頂けると嬉しいです!前作に引き続きありがとうございます! (9月4日 23時) (レス) id: 3762c357ba (このIDを非表示/違反報告)
風花(プロフ) - やはりこの作品は面白い!!続きを楽しみにお待ちしております!! (9月4日 12時) (レス) id: 093315c16a (このIDを非表示/違反報告)
kurumi - こちらこそ、返信有り難う御座います。しょうう、と読むのですね。どうも、人名を読むのは不得意なものでして…😅 (8月19日 10時) (レス) id: 36a2ebbf69 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:砂糖やよい x他1人 | 作成日時:2023年7月11日 21時

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