40.わたしたちはどこか似ている ページ40
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ひとりで食べるご飯は嫌い。冷めてて全く味がしないの。深く眠るのもいや。人と話せなくなっちゃうから。龍頭抗争から2年経って目覚めた時は正直ショックだった。わたしを人間から隔絶するのをやめて欲しい。これは、異能力のせい。
人を騙すのもいや。演劇は好きだった。でも、異能力のせいで好きだった演劇ができなくなって、その反動で日常的に演劇をするようになった。会話するみんなは今日のコーリャのような共演者じゃなくて、ただの観客。素の喜怒哀楽を人前で表現するのが恐ろしくなった。これは、どう考えても異能力のせい。
ひとりで、このまま、生きていたくない!
そのとき、突然黒い空間が私を包み込んだ。これの正体は異能力か!と気が付くも、もはや今なす術は無い。やれることと言えば、自分の身体を薄い亜空間で覆うことのみである。
……いや、大丈夫。わたしが負けるはずもない。
そう結論付けて、目の前に開けたのはドブネズミでも住んでいるかのような地下室だった。最新式コンピューターがいくつにも並び、目を薄くする。誰に私は誘拐されたのだ?
底知れない恐怖に肌が粟立つも、その答えは明白だった。自分でも驚くくらいに低い声が出る。
「あなたね、Aが逃がしたドストエフスキーは」
「はじめまして」
首領から手配された情報で知った顔と、まったく同じ顔をした男がそこにいた。魂の抜けた吸血鬼のような男と何処かの死んだ幹部が表現していたが、正にその通りだと思う。ゲーミングチェアに座り、いくつもの液晶画面と向き合うその手足はひょろりと長く、こびり付いた隈に青白い顔に黒髪と紫の瞳。
きちんとした返答に、この人会話するんだ、とちょっと思ったのはナイショ。
「どうしてわたしを誘拐したの?」
尋問でもする気?やってみなさいよ、なにも答えないから。と鼻で笑って見せれば、「そんなつまらないことは考えません」と拗ねたようにすっと紫の瞳を薄められた。
ならどうして、と口を開こうとすれば「武装探偵社の太宰くんについてお尋ねしたいことがあります」と悄悄とした様子で先手を下される。相手の思考を読むような感じ、掴めない感じ、そしてこの雰囲気。さらりとした黒髪をゆったりと垂らして、にまにまと口の端を弛めて時折紫の瞳を微かに揺らす。
太宰くんに、似ている気がした。いや、それだけじゃない。気の所為だろうか。どこが、何かが、
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宮古みなこ(プロフ) - 黒灰白有無%さん» 返信遅くなってしまい大変申し訳ありません😭キスが精一杯のプラトニックラブを描いているつもりなので綺麗な物語と言って頂いてとても嬉しいです!私もごごりのシーンは懲りました!内容は超考えてるので更新頑張ります!本当にありがとうございます。💦 (9月29日 22時) (レス) id: 3762c357ba (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無%(プロフ) - 失礼致します題名に惹かれまして1から拝見為せて頂きました!綺麗な物語というイメージが大きいです.ゴー/ゴ/リとの絡みが特に大好き過ぎます!!綺麗で且つ迚も面白かったです!!続きも楽しみに仕手おります無理は為さらないで下さいね.これからも応援しております!! (9月15日 15時) (レス) id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
宮古みなこ(プロフ) - 風花さん» ちょうど読み返していたところでした❗️コメントを頂きありがとうございます。現在続きを作成中です!!!待っていて下さって大変感謝しかありません。もう暫くお待ち頂けると嬉しいです!前作に引き続きありがとうございます! (9月4日 23時) (レス) id: 3762c357ba (このIDを非表示/違反報告)
風花(プロフ) - やはりこの作品は面白い!!続きを楽しみにお待ちしております!! (9月4日 12時) (レス) id: 093315c16a (このIDを非表示/違反報告)
kurumi - こちらこそ、返信有り難う御座います。しょうう、と読むのですね。どうも、人名を読むのは不得意なものでして…😅 (8月19日 10時) (レス) id: 36a2ebbf69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:砂糖やよい x他1人 | 作成日時:2023年7月11日 21時