お姉ちゃんの迷い ページ10
Aside
『……え?』
お母さんがその言葉を発した瞬間、辺りは暗い空気に包まれた
「……どういうこと、ですか?……」
さすがに、奏くんも笑っていられないらしく、真剣な顔になる
『そのままの意味よ、
私とお父さんの会社はね、海外からすごい人気でね、よく海外に行くの。
でもね、私とお父さんの記者会見が開いて、
「子供さんはいるんですか?」
と、聞かれて、普通に
「17歳の女の子と、13歳の男の子、12歳の男の子二人います。」
って、答えたら、今度は学園からどんどんオファーが来るようになってね、』
『……オファーって?』
「ほら、Aって家庭科がものすごい得意でしょ?その事も話したら、
料理学校とかから、すごく勧誘されちゃって、
それだけじゃなく、ある学校の理事長さんがね、社長のお友だちだから、社長も「ぜひ」って、断れなくて……」
『それって、留学って、こと?……』
「……ええ、そうなるわ、」
そんな、私、まだシェアハウスして、一ヶ月くらいしか経ってないし、
それに、もっとみんなで過ごしたいし、やっとるすくんにもだって会えた。
……なのに、なんで?
「……だ、」
突然、ガタッと、真冬が立ち上がった
『……まふ、ゆ?……』
「やだ、そんなの絶対やだ!……」
顔をあげた真冬は、目に涙をためていて、必死にこらえている様子だった
それに続き、翔大も立ち上がった
「僕だってやだ!A姉が海外に行っちゃうなんてやだよ!……」
もう、翔大は涙をポロポロと流し始めていた
でも、私と奏くんは黙ったまま
「……ごめんね。でも、決まっちゃったことだから……、もし、Aの判断で、そんなに嫌だったら、理事長に無理をいっても止めさせられるけど、Aの気持ち次第よ」
『……』
私だって、皆と離れたくない
でも、せっかくオファーしてくれた
『……とりあえず、一日まってくれないかな?』
「……ええ、いいわよ、近くのホテルに泊まるし、明日の5時ぐらいに空港にいくからね、決まったら連絡してちょうだい」
『ん……わかった』
そう言うと、お母さんは「またね」と言って家を後にした
すると、座ったままの奏くんが言った
「……僕は、Aちゃんのやりたいようやった方がいいと思うな」
やりたいよう……か……
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つむぐ - やのさんの作品、とっても面白いです!!!!応援してます! (2020年8月11日 13時) (レス) id: 88b02305d1 (このIDを非表示/違反報告)
KOKESI(プロフ) - 夜中にごめんなさい。そして1年前の作品にコメントしてしまいすいません。泣きました。勇気貰いました。ありがとうございます。素敵な作品をありがとうございました! (2020年7月6日 3時) (レス) id: 33ecba25f2 (このIDを非表示/違反報告)
緤那 - あ、涙腺崩壊物語や。これ。 (2019年5月28日 0時) (レス) id: e459f629a2 (このIDを非表示/違反報告)
OWL~オウル~ - とても面白いです!最後のところで目から水が....(ノ_<。) (2019年5月1日 10時) (レス) id: 18a2c8b85d (このIDを非表示/違反報告)
愛香(プロフ) - すごく面白かったです!今やのさんの作品を全部見るっていうチャレンジしてるんですよ笑笑 ラストが感動的過ぎて、今から出かけるのに目が赤くなりそうでした笑笑 (2019年4月21日 8時) (レス) id: 02509c761b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やの | 作成日時:2018年7月9日 21時