36.アングレカムの花が咲く ページ36
「……じゃあ、僕とAは、……その、……」
『……うん、そういうことになるね、』
カレカノ。きっと、付き合った状態になる。
私はそれが嬉しくて嬉しくて、にやけてしまうほどだった。
「……でも、お別れはお別れ」
今まで忘れかけていたものが、ドンッ、と頭にはいってくる。
幸せだったのに、悲しみが溢れてくる。
『……やだｯ！お別れなんて、お別れなんてしたくない！だって、やっと、やっと結ばれたのにｯ！……』
「……A」
私はまた泣きわめく。わがままを言う子供みたいに。
だけど、真冬が離れていっちゃうことがすごく嫌なのには、かわりない。
真冬は優しげに微笑んだあと、私の頬に手を触れさせる。
「……いつも、君の隣にいるから、……そして、必ず迎えに来るから……待ってて？」
その言葉を聞いたとたん、またまたポロポロと涙がこぼれ始める。
私はその言葉を、プロポーズとして受け取ったのだ。だから、私は笑顔だ。
『………………うんっ！』
二人は笑いあった。きっとこの先、どんなことがあっても乗り越えられると思って、
私の頬にあった手は、私の手に絡まり、恋人繋ぎをする。
天宮くんが、いってたっけ。
“「仲直りするときは、手と手をぎゅって握る！そしたら言葉なんてなくても笑えるよ！」”
その言葉が、今すごくわかった
……だけど、タイムリミットは過ぎしてしまうもの
もう7:55と、表記されていた
「……真冬」
真冬のお母さんとお父さんは、真冬を呼ぶ。だけど私は、離れたくなかった
『…………いっちゃう、の？……』
「……うん。僕はいくよ」
私は一気に、寂しい気持ちへと変わっていく。
……また、会えるよね
そう思っている時だった
.
.
『……んっ！？』
「……ん」
不意に、ぎゅっと繋いでいる手の、握る力が強くなる
そして、目の前には視界一杯の、真冬の整った顔
唇には、暖かい感触。私は今、キスされていることを悟った
……見てる。真冬のお母さんとお父さんが、通りすぎていく人たちが、顔を真っ赤に染めて
何度も何度も角度を変えて、リップ音を鳴らす真冬
私はそれが、寂しくもあり、幸せでもあった
.
「……じゃあね、……A」
『…………うん！またね、真冬！』
そして、真冬は旅立ったのだ
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つむぐ - やのさんの作品、どれも面白かったです！別垢になってもずっと応援してます！お疲れ様でした！ (2020年8月11日 18時) (
レス) id: 88b02305d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきか - 小説の最後の意味教えてほしいです (2019年10月27日 21時) (レス) id: f42ad21887 (このIDを非表示/違反報告)
ヽ(・∀・)やぁ - お久しぶりです。受験勉強で見れてないうちに...。新しい垢見つけたらコメントしますね！ずっとずっとやのさんの作品が大好きです！ (2019年7月9日 6時) (レス) id: f277aaf274 (このIDを非表示/違反報告)
ここね(プロフ) - あなたの作品が大好きです！今回の作品も号泣させていただきましたw別アカになろうが必ず見つけ出します！ (2019年6月16日 9時) (レス) id: f16806af0a (このIDを非表示/違反報告)
Rmd(プロフ) - 今作も遅くなりましたが、読ませて頂きました。最後のつっかえる感じがとても好きです。また、貴方の書く作品に出会えたら嬉しいなと思います。お疲れ様でした！！！(^^) (2019年5月5日 23時) (レス) id: 4a935f5230 (このIDを非表示/違反報告)
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