17.家庭事情とお風呂 ページ17
『……ただいま、』
「おかえりー、今日はAの好きなしょうが焼きよー!」
家に帰り、リビングにはいるとお母さんがキッチンで料理をしていた。
私、いつもなら「マジで!?!?」と食らいついているだろうが、今はそういう気分じゃなかった。
天宮くんの家にはいれなかったし!!!……
素直に、なれなかったし……
「……A?どうしたの?しょうが焼きやだ?」
『あ、いや、ううん!嫌じゃないよ!全然!むしろ大好き!!』
「うふふっ、ならよかった!今週末はお父さんが帰ってくるから頑張らなきゃ!」
私の少しポジティブなところも、面食いなところも、お母さん譲りだ。お父さんはいつも仕事でいないが、超イケメン。
だけど何故か、何故か、私は美女にはなれなかった。なんでだよ!!!!
って言いたいところだけど、今はそういう気分でもない。
「……あ、そういや、真冬くんのお母さんからもらった漬け物があったのよね、それも使いましょ」
まぁ、今の話を聞いて勘がいい人は察したと思うけど、お母さんと真冬のお母さんは仲良しだ。
もちろんお父さん同士も。だからよく外食にいくってこともあった。
今日はないらしいけどね。
「あ、私がご飯作ってる間、お風呂入っておきなさいね」
『……あ、うん!』
私はそういわれ、着替えをもって大人しくお風呂にはいることにした。
.
.
湯気が舞う浴室の中、水音と吐息だけが聞こえている。
だけれど、私のモヤモヤは変わらない。
『……はぁ、』
天宮くんが転校してくるという嬉しさと、真冬の寂しさ気な顔をみる憂鬱さが混ざってなんとも言えない感情になる。
こういう時一人でいると、そういうネガティブなことを思い付いてしまうのだ。
昔は、こんなことなんて考えないで、ポジティブで素直になれたのに……。
お風呂のなかでは、私はずっとボーッとしていた。
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つむぐ - やのさんの作品、どれも面白かったです!別垢になってもずっと応援してます!お疲れ様でした! (2020年8月11日 18時) (レス) id: 88b02305d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきか - 小説の最後の意味教えてほしいです (2019年10月27日 21時) (レス) id: f42ad21887 (このIDを非表示/違反報告)
ヽ(・∀・)やぁ - お久しぶりです。受験勉強で見れてないうちに...。新しい垢見つけたらコメントしますね!ずっとずっとやのさんの作品が大好きです! (2019年7月9日 6時) (レス) id: f277aaf274 (このIDを非表示/違反報告)
ここね(プロフ) - あなたの作品が大好きです!今回の作品も号泣させていただきましたw別アカになろうが必ず見つけ出します! (2019年6月16日 9時) (レス) id: f16806af0a (このIDを非表示/違反報告)
Rmd(プロフ) - 今作も遅くなりましたが、読ませて頂きました。最後のつっかえる感じがとても好きです。また、貴方の書く作品に出会えたら嬉しいなと思います。お疲れ様でした!!!(^^) (2019年5月5日 23時) (レス) id: 4a935f5230 (このIDを非表示/違反報告)
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