言わないで ページ7
『……私ッ……ね、…ずっ、と、ヒッグ…辛か、…った』
私は一ノ瀬さんの腕のなかで泣きはじめる
「……うん」
こんな私でも、一ノ瀬さんは優しく返事してくれた
『……笑わな…きゃ、…って……、グスッ…自分を、…殺し、てッ…』
「……うん」
『…虐、待、じゃ、ない……からっ、…て、いじめ、じゃ、ないか、ら……って、じぶ、んに、言い、…ヒッグ聞かせてた、…』
「……そっか、」
私はまだ名前しか知らない一ノ瀬さんに、全てを話した
笑わなきゃって、いっつも自分を殺していたこと
虐待じゃないから、いじめじゃないからって、自分に言い聞かせていたこと
“誰かの見本になれ”、“誰かを真似しろ”そう矛盾されてきたこと
泣きたくても、からかわれるのが、嘲笑われるのが嫌だから我慢してたこと
そう包み隠さず全てを伝えた
一ノ瀬さんは優しくて、ずっと聞いてくれた
「辛いなら俺が救ってあげる
苦しいなら俺が助けてあげる
痛いなら俺が痛みを分かち合ってあげる
……泣きたいなら、俺が聞いてあげる
だから、もう、“笑わなきゃ”何て言わないで」
……嬉しかった
“なかないで”って言われるよりも、ずっとずっと、嬉しかった
私は“ありがとう”って、ただ泣くことしかできなかった
ーーーーーーーーーー
そして、数年後、“ありがとう”という気持ちが変わっていくのはまた別のお話
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真莉(プロフ) - ありがとうございます! (2019年4月23日 19時) (レス) id: f99db6ec33 (このIDを非表示/違反報告)
やの(プロフ) - 真莉さん» ありがとうございます!!それでも見つけてくださり嬉しいです!いつか言われる時が来るのを願っております( ´∀`) (2019年4月23日 6時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
真莉(プロフ) - もう少し早くこの小説を見つけたら…と後悔してます笑 小説内の言葉、言われたらどんなに嬉しいだろうって考えちゃいました ありがとうございます!!! (2019年4月22日 23時) (レス) id: f99db6ec33 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - やのさん» 分かりました! (2018年12月30日 14時) (レス) id: 0627dd355a (このIDを非表示/違反報告)
やの(プロフ) - 葵さん» はい!全然いいですよ!あ、でも、もしかしたら怒られちゃうかもなので、私のボードに是非ご相談に来てください! (2018年12月30日 14時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
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