【歌い手】能力なんかなくたって

強者との話し合い ページ24

『ん……』








私は重たい瞼をゆっくりと開く








『……は？
　






なんでここに一ノ瀬彼方が……』









一ノ瀬彼方が腕を組んで私の布団の近くで座って寝ていた








……とりあえず落ち着こう、







なんで一ノ瀬彼方が寮にいる？女子寮だぞ？







私は気になって一ノ瀬彼方の方を見る







……よくみると、綺麗な顔してるな







瞼もちょっと長くて、真っ白い肌だし、寝癖が着いてるふわふわの黒髪







こんなイケメンなら女子も騒ぐわな







そういえば、なんでこいつは私をあのとき助けたんだろ







どうせ学園のためとかそういうのだろうけど







「んぅ……」






すると一ノ瀬彼方は頭を動かして起きた








瞼を擦り、周りを見渡して、私を確認したら欠伸をする







「おはよ……ふわぁ」






『……おはよ、


なんでここにいるの？』






私はもう率直に伝えた







「……理事長直々に頼まれてさ、お前の監視だとよ。一応お前は欠席扱いになってる」






顔を自分でぺちぺちと叩いて眠気をさまそうとしているのだろうか、その行動をしながら私に話す






……昨日、見られたかな







気まずいけど、聞いてみるか








『……あのさ、昨日、私の額、見た？』







少し途切れ途切れだが、これでも頑張った方だ








すると一ノ瀬彼方は目を見開いて頭を下げた








「ごめん、見た」








『……だよね』







私は一ノ瀬彼方の行動に少し目を見開いて、そう告げる







「……俺も聞きたい。







お前の額の文字、「消」だけど、なにか言われなかったか？」







この文字？……







一ノ瀬彼方は顔をあげて真剣な顔をする





『特にそんなのないけど……』







私がそう答えると一ノ瀬彼方は腕を組んで思い詰める







「……お前の文字、何処の記録にも、資料にも乗ってなかった」









『……え？』








なわけないでしょ、何処でもあるに決まってる









だけど、一ノ瀬彼方は一枚上手だった









「お前の能力、理事長も見たことがないそうだぞ」









……え？

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