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コンコン
自室で時間を潰していると、扉をノックする音が耳に届いた。
幹部ではない。
どうやらうちは、拷問担当に敏感になりすぎて幹部なら誰か分かるようになっていた。
しかし、この息遣い、ノックの響き方、足音。
幹部ではないことは明白だった。
それでも何故か覚えがあった。
恐る恐る扉に近づき、声をかける。
A「どなたです?なんの御用で。」
??「ご挨拶にまいりました!A隊長率いる第3近接部隊の新入隊員、シュヴァルツと申します!」
返事を返したのはうちの隊の新入隊員だというシュヴァルツという男だった。
扉を開けて顔を見れば、なんとなく既視感のある顔立ちだった。
しかし、今年度の募集ではうちの隊は新人はとっていないし、シュヴァルツという名前を軍内で聞いたことがない。
うちは脳が咄嗟に出した危険信号を読み取り、バレないようにインカムの電源を入れた。
いや、入れようとした。
sh「ずっとあなたに憧れていたんです!一生ついて行きます!」
そう言って彼はうちの手を掴んだ。
偶然か意図的かは分からないが、掴んだのは電源を入れようとしていた右手。
読めない。
表情からも、言動からも。
何も読めない目の前の未知の存在に恐怖を抱いていた。
その時だった。
gr「・・Aはすぐに総統室へ来るように。」
こんな放送がかかった。
総統室から直で流される放送。
もちろんインカムの個人連絡やロボロの城内放送とは、言葉の重みが変わってくる。
そこでもう何度目かも分からないが悟った。
今世も終わりへ動き出した、と。
A「大人しくしてればいい?」
そう問いかけたがどうやらそうはいかないみたいだった。
目の前にいる国の象徴は目を伏せる。
総統室にすぐに向かったうちは、当然のようにすぐに拘束された。
しかし、今までとは違ってまだ地下牢には連れていかれず、総統室で質疑応答を行っていた。
グルッぺンが一言も発しないため、質疑応答と言っていいのかは分からないが。
A「話せることは何も無い。疑うなら拷問でも処刑でもなんでもどうぞ。」
そう言うとグルッぺンは目の色を変えた。
まるで、なぜそんなことを言うのか、と怒りに満ちているかのような表情だった。
へぇ。
今世のうちは前回のように少しだけ信頼が残っているのか。
まぁ、こんなことどうでもいい。
問題は山積みなのだから。
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れぬ - まじでこの作品大好きです…!! (2月13日 18時) (レス) @page43 id: 0a59a20f0d (このIDを非表示/違反報告)
ずみ - わあああ!!!更新!!!更新来たーーー!!!!!!!きゃーーーー!!!𝑩𝑰𝑮𝑳𝑶𝑽𝑬────────── (2月13日 2時) (レス) id: 7407db3b93 (このIDを非表示/違反報告)
鯛焼き - 次こそは、次こそはってどんどん見てしまう、、、 (1月18日 19時) (レス) @page33 id: 5f87212f07 (このIDを非表示/違反報告)
天然記念ゴミ(プロフ) - なんか結構だいぶ超好きだわ (1月17日 10時) (レス) id: bde2ec8f8b (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - 多分、ループの終わりは国が滅亡しなかったら、、な気がしてます。ただ、ループの終わりに彼らの中にどんな記憶が残って、ループの終わりに主人公が彼らを信じていられるのかは、、、、わからないですね、、、。 (1月12日 20時) (レス) @page27 id: c71ab18fe4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おーるんご。 | 作成日時:2023年12月29日 23時