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高杉の隻眼にあったのは、昔と変わらぬAへの深い愛情と、恐ろしいほどの狂気でした
『随分と探したぜェ?
A…銀時と一緒にいたのは予想通りだったがなァ』
『…………私はただ──』
『A』
言葉をかぶせAの名を呼んだことでAは開いた口を思わず閉じる
『俺と来い、A』
『は………?』
高杉の言葉に、Aは驚きました
『お前は俺のモンだろうが。
俺から勝手に離れたこと、許したつもりはねェぜ』
『………いや、私たちはもう』
『一緒来ねェのは、銀時か?
お前は昔っからそうだよなァ。
昔っから銀時にベッタリだ。だがもう心配いらねェよ』
『………なんの話してんの?』
話が通じないことにAは眉をひそめた
『銀時は俺が殺す。
だからお前はただ俺の傍にいればいい』
『は………銀時を、殺す……?』
『あぁ。ずっと前から決めてたことだ』
愛する人から言われた言葉は、後頭部を鈍器で殴られるよりもずっと衝撃的でした
『俺ァ、この世界を壊す。銀時も殺す。
全部終わったらあの約束を叶えるぞA』
『…………あの、約束…………?』
『忘れたわけじゃあるめェ』
Aは高杉と交した約束を思い出しました
──戦争終わって先生取り戻したら、一緒になろう──
──俺はお前以外の女はいらねェ。だから、俺と生きろ──
『ま、さか………』
『全部ぶっ壊して、ゼロにしたら一緒になるぞ。
今度こそ』
Aは、言葉も出ませんでした
愛する人にまだ想われていたことへの喜び
兄を殺すと言われたことへの衝撃
全てを壊さんとする昔の面影もないその破壊衝動を孕んだ狂気
高杉にただ感じたのは、底知れぬ悲しみと、後悔でした
『今日はこのまま帰る。また迎えに行く』
『っ、晋助!』
彼は、Aの声に振り向きもせず闇の中へと消えていった
『…………………しん、すけ……………………』
Aは強く強く、手のひらに血が滲むほど強く拳を握り
自分の内で高ぶる色々な感情に、どうしたらいいかわかりませんでした
『……………………帰、ろう』
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江(プロフ) - 氷麗さん» 氷麗さま!毎度ながらありがとうございます!頑張りやす!!! (2020年7月3日 18時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - みるくさん» ありがとうございます!続編で来ましたので行ってらっしゃい! (2020年7月3日 18時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
氷麗 - 今回も、面白かったです!!体に気を付けて、無理せず頑張って下さいね!!!いつも楽しみにしていますよ!!!!! (2020年6月29日 21時) (レス) id: 0b4aa008b9 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - あぁ、、好き……ずっと楽しみに待ってます!! (2020年6月26日 0時) (レス) id: b976b329cf (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - 氷麗さん» 氷麗様、いつもコメントありがとうございます!ゆっくりですけど頑張りますね! (2020年6月24日 17時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:江 | 作成日時:2020年5月8日 12時