成り代わり杵の突撃！隣のブラック！-2

CASE3-53 ページ32

情報量が少ない。まだ不確定な憶測しか立てられない。

下手に答えると、俺はあの本丸で過ごしたことが無いので矛盾した答えを出してしまうかもしれない。そうなれば終わりだ。
俺はただの人間の知識を持った刀剣男士でしかないのだから、特殊能力なんか持ってないし。

というかこういう成り代わりって何かチートとか貰えるもんじゃないの？霊力が刀剣男士なのに持ってるとかさ、一部のステータスが高かったりとかさ。
俺霊力とか微塵も感じ取れないんだけど。「もしかして、この温かいのが霊力…？」とかの魔法チート系主人公のラノベ展開とか無いんだけど。
霊力って何よ。ドラゴ○ボールみたいなやつ？扱えばかめは○波とか撃てんの？リアル戦闘民族かよこっわ。
知識チートとか、今いるこのホワイト本丸だと逆に疑われる原因になるし。寧ろお荷物になってるんだけどこれ無かったら多分ここまで平穏な生活に来れてないんだよなあーー。

駄目だ。半ば現実逃避気味に思考を重ねてしまっている。
思考回路が投げやりになってるせいでショートしてるわ。だいぶ思考が愉快なことになっているな。
あーくっそどう答えたもんかなー。

「…うん。ごめんなぁ。もうちょっと、待ってくれるか？」

もうこれでいいや面倒くさい。
おら、いつもぽやぽやしている御手杵にしては珍しい、少し悲しげに目を伏せての切なげで苦しげな声だぞ。
多分他の"御手杵"なら滅多に見れない表情と声だぞ。

前世とは違って今は外見補正があるから、積極的にフル活用していく所存だ。
一般人と言われているが御手杵は色彩が地味なだけで顔はかなり整っている方だからな。
俺別にこの本丸に迷惑かけようとしている訳じゃないし見逃してほしい。
こんなこと考えてる時点でやっぱ俺"御手杵"じゃないわぁ。

そのまま、少し声を震わせながら笑顔を作ろうとして失敗したようなへにゃりとした顔を青江に向ける。

「すごく、嫌って訳じゃないんだ。でも、うん。まだ、整理がついて無いのかも。俺自身、よく分かってない、ぽい。だから、ごめんなあ」
「…っそ、うかい。…ごめんね、変な事を聞いてしまって」

俺の答えを聞いて、一瞬息を詰まらせて自己嫌悪で心打たれたような青江。
それを見て、罪悪感が湧いてこないことも無かったが、内心ガッツポーズした。
引き延ばしにしただけかもしれんが、とりあえずの窮地は脱した。
いや、もしかしたら本当に天然で完全なる善意で聞いてくれたのかもしれないけど。

後書き
早めに投稿。

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