成り代わり杵の突撃！隣のブラック！-2

CASE3-48 ページ27

その言葉に苦笑いする。
同田貫正国は戦闘ではよく突っ走る刀剣男士だろうから、それは何度も鉄拳制裁を受けたのだろう。

「まあ、そんな訳でだ。俺たちは主から貰う小遣いなどを貯めて、様々な教科書や指南書を読み漁った。戦闘経験を積むのは時間がかかるからな。手っ取り早く出来るのがこれだったんだ」
「つよくなるためでしたから、みんなひっしでした！…とちゅうから、あるじが、かってしまうようになりましたけど」
「その甲斐あって、極でなくとも演練で互角に戦うことが出来るようになったんだよ。れあじゃないからとか極じゃないからとか抜かす奴らとな」
「へえ、すげえなあ」

そう感心のため息混じりに漏らせば、切国は少し赤面して言う。

「あ、あいつの為だ。その為の努力など…」
「山姥切は、あるじのことがすきですもんね！」
「なっ…何を言う今剣！」

今剣にそう言われれば、更に顔を赤くして必死に叫ぶ切国。
今剣は手を口に当ててにまにましている。
三日月は何だか複雑そうだが暖かい目をしている。
たぬきは呆れた顔をしている。

「お、御手杵、三日月、違うからな！本当に違うからな！」

そう言われてへぇへぇ、と返そうとして、ピタリと止まる。
…あれ、何か妙に切国が必死なような。

いや、まさか。
まさかそんな。


「…え、まさかあんた。主のこと恋愛的な意味で好きなの？」


答えは無い。
だが、返答はその様子を見れば充分だった。

聞いた途端に、一瞬で真っ赤に熟れたりんごのようにぼふんと赤くなり、まつげを震わせ、薄い唇をわななかせるその姿。
白くまろい頰を赤く染め、口は意味のない言葉を吐き出しながらぱくぱくと開閉させている。

「う、あ」

その姿を見て気まずげに頰をかいた。
こりゃあ、どんぴしゃりだ。

「…あー、まじか。何かごめんな？」
「おや、御手杵にも、そこまでひとをみるめがあるとは。おどろきました」
「なんかちょいちょい今剣俺にあたり強くないか！？いや、今のは流石に分かるだろ」
「俺も驚いたわ」
「たぬきぃ！？」

そんな話を目の前でしてみても、切国はまだ再起動しないようだ。
未だ口を開け閉めしている。
すると今まで黙っていた三日月が、にっこりと笑って口を開いた。

「そうかそうか。切国は、主を愛しておるのだなあ」

その言葉がとどめになったらしい。
切国は勢い良く被っていたぼろ布を掴み丸まって、ぷるぷると震え始めてしまった。




後書き
恋愛ってどう書くんだ…？？？

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