CASE3-24 ページ3
「あ゛ー…うわっ、え、いたのかよあんた」
「監視見破ったの、御手杵さんでしょ…?」
「いや、まさか堂々と姿見せるとは思わなくてよ。何か用か?」
トイレを出ると入り口横に小夜左文字がいて思わず素の声が出る。
普通に同じように監視続行するかと思えば何事もなかったように姿を現してきたのに驚いた。
何か話しがあるのかと思い、しゃがんで膝に手を置き目線を合わせる。
「えっと…その、」
「うん」
「まずは、黙って監視して、ごめんなさい」
「うん?」
少し言い澱んでからぺこり、と小さな頭を下げられ、首を傾げた。
「いや、さっきも言った通り、俺は危険分子だ。そんなのが主に近づくのが不安なのは道理だろ。というか俺も同じ立場ならそうしてた」
「でも…」
「俺が良いから良いんだよ」
「…うん。ごめんなさい」
「謝んなくて良いんだけどなぁ」
申し訳なさそうにする小夜左文字は本当に罪悪感たっぷりの表情を見せている。
こんなん見せられたらもし俺が怒ってたとしても怒るに怒れないだろう。
「んーと、そんだけか?」
「あっ、えっと…監視はしてるのは御手杵さんだけで…三日月さんはもう良いってなってて…みんな別に悪気があってした訳じゃないんだ。殆どがもう必要ないって言ってたし…」
「ん、ほんとに気を遣わなくて良いって。まあ信用されてるのは素直に嬉しいけど」
必死に本丸の仲間の弁解をする小夜左文字は見てて悲しくなってくる。
彼の性格的にも、その一挙一動からしても、どうやら本当のことを言っているらしい。
その小さな口でたどたどしくも言葉を紡ぐ様を見て、どうすれば分からずに取り敢えず頭に手を置いた。
「あんま個人的な、それこそトイレん中とか覗かれたらたまったもんじゃねえけど、してないだろ?だから良い」
「っえ、あ…頭…」
「おっとわりぃ」
流石に馴れ馴れしく過ぎたかと思い直し、頭から手を離そうとしたらその手を上から小さな手で抑えられた。
「べ、別に嫌って訳じゃなくて…変な感じだなって…」
小夜左文字はそう微かに頬を染め、恥ずかしげに目を逸らしながら段々と小さくなっていく声を発した。
気まずげにきょろきょろと視線を動かすのは、撫でられることに慣れていないのだろう。
そのまま頭をかき混ぜた。
「わっ…」
「その見目なんだ、甘えられる内に甘えとけ」
そう言えば、小夜左文字は小さくこくり、と頷いた。本当に小さく。
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白萩(プロフ) - コメントありがとうございます。兼さんの心情を書くのはとても楽しいです(満面の笑み)。作者は面倒臭がりなので無理してないです、焼き芋食べてほくほくしてます。うめえうめえ。ご心配頂きありがとうございます。ご友人も早く治ると良いですね。 (2019年1月26日 0時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
臨海林檎(プロフ) - …はっ、ページ49…!?こんばんは白荻様、体調が芳しくないようですが無理をしてはいけないですよ。(何様)風邪とインフルを併発した友人がいるもので心配になってしまい…。兼さんの心情見ていて楽しいです…更新ありがとうございます。コメント多過ぎですね… (2019年1月25日 21時) (レス) id: 8a0a48b25e (このIDを非表示/違反報告)
白萩(プロフ) - ひえっすみません。今晩は鍋ですコメントありがとうございます(震え声)。年末バタバタしてたのでストックが無くなってしまい、書き上げてたらいつのまにかこんなに間が…カーチャンこれからは頑張るよ…!お待ちさせないように努力します(´・ω・`) (2019年1月21日 20時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
臨海林檎(プロフ) - カーチャン…今日のご飯はすき焼きがいいな((…生きてて良かったです白荻さん…もっともっと更新遅くても待ってますので…その…頑張って下さい!!!すみません!!!!コメント多過ぎですね!!! (2019年1月21日 19時) (レス) id: 8a0a48b25e (このIDを非表示/違反報告)
白萩(プロフ) - ティンダロスの旅ビトさん、感想ありがとうございます。新年にかこつけてくれてありがとうございます。これからもどんどんかこつけてくれて構いませんよ!(食い気味)。これからも頑張っていきますよ! (2019年1月3日 23時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白萩 | 作成日時:2018年12月8日 0時