成り代わり杵の突撃！隣のブラック！-2

CASE3-40 ページ19

「やあ、来たね」

祈祷場に入ると、部屋には片足を立てて座っている青江、胡座をかいている同田貫、その同田貫の背後からもたれかかっている今剣がいた。
こっちを見てから、今剣をしっしっと追い払った同田貫は、祭壇の前の三本の刀を親指で差して
「それ、特に穢れやらはついてないってよ。本丸の中じゃあ使用禁止になるだろうが、戦場で使っても良いとのお達しだ」
と言った。
同田貫に追いやられて頰を膨らませた今剣は、青江の背後から手に首を回してもたれかかる。

「僕に全てを預けてくれても良いんだよ…体重のことだよ？」
「こら青江、やめなさい」

顔を赤くした石切丸に咎められ、青江はくすくすと笑う。
笑われた石切丸はこほん、と仕切り直すように咳をする。石切丸は意外と初心のようだ。

「本丸内での持ち歩きは出来ないし、手合わせの時も持っていけないことになったんだ。部屋に置いておくか、戦場で使われるかの二択だね」
「戦場に持ってっても良いのか？」
「ええ、あるじさまが、それらもつかわれなければ、かわいそうだろう、と」

へえ、と相槌をうちながら石切丸に渡された刀を撫でる。
同田貫正国の鞘部分を撫でながら、
「良かったな、お前」
と言えば、たぬきの方の同田貫がはっと笑う。

「折れても使ってもらえるたぁ、その"俺"は随分と幸せもんだ。是非見習わせてもらいたいもんで」
「…というか、俺刀使える気がしないんだけど。俺槍だし」

そう言えば、青江が言う。

「それについては、君に聞きたいな」
「…何を？」
「僕たちがその刀を持って使うか、君が持って使うか、だよ」
「へ？」

そう声を漏らせば、青江は苦笑した。

「一応それも"僕"たちだからね。使えるには使えるさ。ただ、君が使いたいっていうならそれはそれで構わない」

そう言われて成る程と頷く。
あくまでこれは俺の形見だから、使い方は俺に任せると彼等は言っているのだ。
…お人好しだなあ。
素知らぬ顔である程度思考を巡らせる。
それから、彼等にこう問いかけた。

「なあ、刀の使い方、教えてもらっても良いか？」

そう言えば、彼等は待ってました、というように、または柔らかく頷いた。

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