成り代わり杵の突撃！隣のブラック！-2

CASE3-37 ページ16

と、なるとやはり不特定多数の目に触れる演練に参加はしたくはない。
政府で過ごした時にバレなかったが、審神者には霊力とやらのスペシャリストもいるだろう。
慎重に慎重はきすべきだ。
というか中身が違うし祟り神と契約中だし俺地雷多過ぎない？この時点でクソゲーだったわ本当辛い。

「…もしかして、演練行きたくない、かしら？」
「まあ、あんまり」

そう言えば主は気を遣ってるのか、特に表情は変えずに受け入れた。

「そう。なら仕方ないわね…一応理由を聞いても良いかしら？上が五月蝿いのよ」
「手杵は演練に行かないのか？」
「んー、何というか、誰とも知らない多数の他人に見られるのが嫌、って事かなぁ？人間じゃなくて刀剣男士含めてで」
「…分かったわ、ありがとう。三日月は一人で演練行ける？」
「そうか…手杵は行かないのか…」
「あ、これ聴こえてねえや。みっかづきー」

声を掛けても気付かないので、ペチペチと頰を軽く叩けばちゃんとこっちを見てくれた。

「これからお前一人で行動することも増えるからさ、慣れておいて損は無いと思うぞ」
「…まあ、たしかに、そうだが」

理解はしても納得は出来ないというように眉を寄せて悩んでいる。
しばらくして、長く長く考えて
「もう少し経ってから、演練に行かせて貰っていいか」
と言った。

この答えに少しほう、と感心の息を漏らしそうになった。
三日月なら俺と一緒じゃないと無理、もしくは演練を拒否するかと思ったのだ。
悩みながらも行きたいと言ったということは、俺と三日月自身の事だけではなく、本丸全体の利益を考えた。
こいつはこいつなりに変わろうとしているのだろう。

「分かったわ。くれぐれも無理はしない事。行けるタイミングで言ってくれればいいから」
「あい分かった」

今の気持ちは何というか、ふとしたことで成長を感じる育ち盛りの息子を持った母親の気分である。いや今は父親か？

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