二十話 ページ20
鶴丸視点
大包平と鶯丸の会話はいつも面白い。聞いてて飽きない。女子たちの黄色い声にはもう飽き飽きだが。
大包平が課題で出された楽譜で分からないところがあるというので音楽の教室に質問へ行くらしい。
そこに鶯丸がついて行くのだと。
面白い会話が聞けるのかもという期待があり、俺もついて行く事にした。
音楽室まで行くのに女子が群がって来て大変だったがまくことが出来た。
あいつらの会話を女子の声で消されたく無いから。
で、現在に至るが
音楽の教室の中では
無表情の乱れた制服の女子と興奮気味の音楽の教師がいた。
その二人の体制からして女子は襲われたのだということは容易にに想像できた。
教師は俺たちに気づくとこちらに近づいてきた。
教師「これは誤解だ！
あの生徒に誘われたんだ。悪いのはあいつだ！」
教師は女子を指差しながら弁解している。
女子は聞こえないのかこちらを見て首を傾げていた。
教師の弁解を無視して
俺はいつのまにかその女子の方へ歩いていた。
それは鶯丸も大包平もだ。
グランドピアノの上で押し倒されたのだろう、グランドピアノの上に座っていた。
大包平がグランドピアノから女子を下ろし、
鶯丸が女子のはだけたシャツを隠すように彼のカーディガンを羽織らせる。
鶴丸「大丈夫か？」
「大丈夫よ、全然平気。見苦しい姿を見せて悪かったわね。」
彼女は澄んだ瞳で俺たちを見て謝罪の礼をした。
それを見て教師.........いや、
あいつに対する怒りがふつふつと湧き出てくる。
大包平「何故お前が謝るんだ。」
鶯丸「謝罪すべきなのはあいつじゃないのか？」
鶴丸「そうだな。こりゃぁ、リストラもんだぜ」
まだ教室の入り口にいた教師は真っ青になって叫ぶ。
教師「だから！！！そいつが俺を誘って来たんだって！！！信じてくれよ！！」
あいつが嘘をついている事はみえみえだった。
彼女の瞳には一切の汚れがなかった、
彼女はそんな淫らなことはしないだろう。
初めて会った人に
こんな確信的な思いを持ったのは初めてだ。
俺はアイツに向かってズカズカと歩いた。殴ってやろうと思った。
だがそれは彼女によって止められた。
「皆さん、落ち着いて欲しいわ。教室から出ましょう。
先生は今日の事は無かったことに」
彼女は教室から出て俺たちを呼んだ。
地下は薄暗く、音楽室に用がない限り人は通らない。
彼女は俺たちの目を見て言った。
「仕返ししましょうか」
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作者名：免疫細胞 | 作成日時：2018年3月22日 12時
