虹ヶ原リバーハウス３ - JW

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- side Fuji -




それから俺は、オトンに育てられた。


オカンがおらんから、母の日の似顔絵も、作文も、上手いことかかれへんかった。


そうやってしんどいことがあると、オトンは決まってこう言った。



『オカンがおらんせいで何かしんどいことがあったら、それは全部オトンのせいや』



オカンのことは思い出さなくなっても、俺は望のことは気にかかっとった。


望が成長するうちに、俺と同じでオトン似になってもうたらどうなんねやろ。


そんなことばっかり気にしてた。



高校生の頃、俺はいま働いとるカフェでバイトしとった。


その頃はパンケーキなんて洒落たもの置いてなくて、男性の常連客もおった。


その常連客の中に、いつもひとりで勉強しとる男の子がおった。


俺はその子が妙に気になって、家で中学の教科書を読み直して、教えるフリして話しかけた。



？「お兄さん凄いっすね！ またわかれへんとこあったら、教えてくれる？」


青「わかるとこならええよ」


桃「やった！ 俺、望って言います」



俺は驚きのあまり目を見開いて、身動きがとれなくなった。



青「望……？」


桃「うん、望。小瀧望。お兄さんは？」


青「俺は……藤井流星」


桃「名前までかっこええんや！ なんか流星と望って、縁起いいっすね」



そう言って人懐っこい顔で笑う望は、俺が兄ちゃんやなんてこと気付いてへんかった。


それが俺の弟、望との再会の話。


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