【ωrωrd!】顔馴染みがヤンデレで攻略対象とかキツいって

籠の鳥は飛び立てない ページ41

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「放し飼いもありやと思うけどなあ」
「ほんまに言っとる？ それで逃げられたらどないすんの」

ペットの話でもしているのだろうか、二人の目には慈愛が見られる。
しかし実際はそんな可愛らしいものではなく、いかにして意中の相手を手元に置くかを話しているとは、居酒屋にいる誰も思うまい。
瞳に見られる想いも、慈愛ではなく執着だ。それもメガトン級の。

「そうやって仕舞い込むから、逆に逃げようとすんねん」
「トントンは緩すぎると思うけどな」

閉じ込めてもある程度の自由を約束するトントンと、逃げようと画策することすら出来ない拘束をするシャオロン。
一見対照的な二人だが、愛情表現は同じである。
ゾムや鬱先生は自分が世話をする、自身だけを見てもらうなどの目的があって、閉じこめるのはあくまで手段だが、この二人は取り籠めることが目的である。
シャオロンも自分だけを見てほしいという思いはあるが、気持ちさえ向いていればいい鬱先生と違い、物理的にも自分だけであってほしい。
そんなシャオロンはトントンのことを理解できなかった。自由にさせたら確実に逃げようとするのに、何故拘束もしなければ外界の情報も絶たないのだろう。一度訊ねてみたが、自分とはかなり考え方が違い、道理は理解してもやはりどうしてそんな行動をとれるのか分からなかった。
利害の一致や、戦略的互恵関係を結べるもの同士は共有という手段も考えられるが、この二人は確実に相容れない。
愛情表現は同じだが、主義主張が合わないからだ。
協力体制を敷けたならきっと心強い味方になるだろうに、残念な気持ちは互いに感じている。

「A、最後に誰を選ぶかなあ」
「そもそも選ぶことが出来るかって話やけどな」

様々な手段で自身以外の選択肢を潰そうとしている面々ばかりだ。Aが選ばずとも、誰かが本格的に行動を起こすのは時間の問題。悠長に今の冷戦状態を楽しんでいるわけにもいかない。
タイムリミットは二ヶ月。Aが大阪から離れる前に、確実に事態は進展する。
メンバー内で特に警戒されているのはゾム、鬱先生、シャオロン、オスマン、トントン、グルッペンの六人だ。理由は単純、連れ去る可能性があるからだ。
コネシマのように精神的に縛っているのなら、後からどうとでもなる。しかしA本人を手中に収められてしまったら、奪還は困難。
この二人も、あくまで互いの監視ついでに会話をしているにすぎなかった。

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