＊ ページ22
・
『おはよう。気持ちよく寝てたみたいやから起こさんかったんやけど、夜ご飯出来とるで』
『ほんと？ じゃあ食べる』
トントンは私の枷を外し、まずは顔を洗ってくるように勧めた。
戻ると既に準備は終わっていたようで、いくつか料理が並んでいた。椅子は二つしかないから、トントンの対面に座る。
大人しくご飯を食べ終え自由行動となったが、することがない。正確には出来ることがないのだ。
トントンが帰ってくる前に調べられるところは調べたし、玄関に寄ろうとすればトントンに話しかけられる。逃げるのかとは訊かれないが、監視は確実にしている。だって絶対に話しかけてくる。
今日はもう諦めて寝てしまおう。布団に入り込み、そのまま眠る。
目が覚めたら枷は着けられており、トントンは既にいなかった。再び自由時間を得られたわけだが、相変わらず与えられる情報は変わらない。
「ピッキングのノリで外鍵を開けられないかな」
「ヘアピンとか探すん？」
「うん」
自室か洗面所にあるだろうと踏んで探し回るも、ヘアピンどころか細長いものも見つからない。最悪安全ピンでも良かったのだが。
もう枷を力ずくで外すしかないのでは。そんな考えに至った私は利用できるものを探す。
幸いドライバーがあったから、鎖の丸カンを開くようにドライバーに力を込めて繋ぎ目開こうとする。
それに夢中になっていたのがいけなかった。扉が開く音がしたのに、ゲームの私は気がつかなかった。
「ねえ気づかないんだけど！？ 動けないよ！？」
「どんまい」
気づけと念を送るも届かなかったようだ。見事犯行をトントンに見られてしまった。
意外にも、トントンは笑顔で私を見る。冷や汗をだらだら流している私は、そっとドライバーを置いた。
特に詰問はなかったが、数日間私が警戒していたため動けずにいると、既成事実を作られてしまった。バッドエンドだ。マジでエッチシーンのどこに需要があるんだ。
二週目に入り探索をするも、やはりいいものは見つからず睡眠をとることにした。
一周目と同じようにトントンに起こされ、洗面所に向かう。
ここで気づいた。
「……これ、逃げられるのでは」
洗面所は玄関から近く、リビングからは死角だ。
玄関に近づく。調べてみると、鍵を開けられる。
脱走するか選択肢が出てきた。
恐らく、出た瞬間に鬼ごっこが始まるだろう。背筋を正して、玄関のドアを開ける。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1931人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サトウキビ - なんかすごかった(？)ヤンデレてこんなにも種類あるんやなぁあと作者さん語彙力ヤバイ(？)チラチラなんか違和感？みたいなんはあったけどほんまにヤンデレだったとは(？)作者さんこんな神作品を出していただいてありがとうござました！本当に面白かったです！ (6月29日 5時) (
レス) @page36 id: a13e5d0e47 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 少々時間がたった後のコメントすみません。。！！がちで最後の展開が好きすぎました！！ヤンデレをこれからも愛していこうと思います！ (2022年1月26日 15時) (レス) @page36 id: ac6e1f1de0 (このIDを非表示/違反報告)
脳内お花畑(プロフ) - みるくさん» 初めてご覧になったのが私の作品なのは少々照れますがそうおっしゃっていただけると作者冥利に尽きます。こちらこそ嬉しい感想をありがとうございます！ (2021年8月22日 0時) (レス) id: 0958f2ac72 (このIDを非表示/違反報告)
みるく(プロフ) - 1年と少し前、タイトルに惹かれて初めて占ツクでwrwrdの作品を読ませていただきました。とてもよいジャンルを発掘させてくれた作者様には感謝しかありません。ヤンデレに目覚めたのもこの作品のおかげです！最高でした！！ (2021年8月21日 19時) (レス) id: 53dee64276 (このIDを非表示/違反報告)
脳内お花畑(プロフ) - みひろさん» ありがとうございます！！！そう言っていただけて嬉しいです！ (2021年6月16日 0時) (レス) id: 35d3ae5fee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：脳内お花畑
| 作成日時：2020年10月5日 21時
