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本気だと察し、なんとか逃げようと暴れても、押さえ込まれて赤ん坊をあやすように背中を優しくなでられる。
「大丈夫。ちゃんと専門家にきいたから」
「やめ、こわい。ねえ……！」
怖くて、鬱を力強く抱き締め返す。
目の前にいる鬱こそ私をこんなに遭わせているのに、頼る人は鬱しかいなかった。
鬱の肩越しに窓が見える。カーテンが開いていて、外は明るい。この状況下では諦観するしかなく、外をぼーっと見る。
ペットボトルの蓋を開ける音が聞こえる。死が刻一刻と近づいてきている。
鬱は変わらず私の背中をさする。
私が落ち着いてきたからか、鬱が込めていた力を緩めた。
その瞬間、鬱を突き飛ばし窓を開ける。
あのペットボトルの大きさなら、今さらこの窓を閉めたところで死に至るほどの一酸化炭素は出せないはずだ。
「なにするん……？」
「こっちのセリフだわ！」
理由もわからず、突然殺されかける私の気持ちも考えてほしい。
「なんでこんなことを……！」
「別に、理由なんてあらへんよ。一人じゃこわいからAを道連れにしようと思っただけや」
太宰治じゃないのだ。死ぬなら一人でやってほしい。いや死んでほしくないけど。
鬱は拗ねたように言う。
「詰めが甘かったなあ。……もう一つ手段を考えとったんやけど、時間がかかるからやめてん」
「……どんなの」
答えてくれるとは思っていなかったが、気になってしまった。
意外にも、鬱はなんてこともないように教えてくれた。
「家中の鍵全部しめて、出れないようにする。ここはそこそこ広いけど、その分現実と隔離されてるような感じがするやん？ 俺たち二人だけの世界の完成や。もちろん連絡手段はなくすし、誰かが来るのを待つしかないで」
薄ら笑いを浮かべる鬱にぞっとする。中毒で死ぬか、衰弱死するかのどちらかだったのか。冗談ではない。
「……帰る」
本当に実行される前に帰ろうと、そそくさと荷物をまとめる。鬱はそれを見つめるだけで、止めようとはしなかった。
早足で玄関に向かい、ドアを開ける。
部屋から一歩出た途端、鬱に話しかけられた。
「なあ、A」
「……なに」
「俺が、一番信用できるやろ？」
どの口が言うのだろう。私を殺そうとしたくせに。
返事も振り返ることもせずに、私は部屋から出て扉を閉めた。
……あのゲームをやってから、皆がおかしくなってしまった。
きっと気のせいだ、考えすぎだ。からかっているだけだ。
言い聞かせるように、脳内で何度も呟いた。
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サトウキビ - なんかすごかった(？)ヤンデレてこんなにも種類あるんやなぁあと作者さん語彙力ヤバイ(？)チラチラなんか違和感？みたいなんはあったけどほんまにヤンデレだったとは(？)作者さんこんな神作品を出していただいてありがとうござました！本当に面白かったです！ (6月29日 5時) (
レス) @page36 id: a13e5d0e47 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 少々時間がたった後のコメントすみません。。！！がちで最後の展開が好きすぎました！！ヤンデレをこれからも愛していこうと思います！ (2022年1月26日 15時) (レス) @page36 id: ac6e1f1de0 (このIDを非表示/違反報告)
脳内お花畑(プロフ) - みるくさん» 初めてご覧になったのが私の作品なのは少々照れますがそうおっしゃっていただけると作者冥利に尽きます。こちらこそ嬉しい感想をありがとうございます！ (2021年8月22日 0時) (レス) id: 0958f2ac72 (このIDを非表示/違反報告)
みるく(プロフ) - 1年と少し前、タイトルに惹かれて初めて占ツクでwrwrdの作品を読ませていただきました。とてもよいジャンルを発掘させてくれた作者様には感謝しかありません。ヤンデレに目覚めたのもこの作品のおかげです！最高でした！！ (2021年8月21日 19時) (レス) id: 53dee64276 (このIDを非表示/違反報告)
脳内お花畑(プロフ) - みひろさん» ありがとうございます！！！そう言っていただけて嬉しいです！ (2021年6月16日 0時) (レス) id: 35d3ae5fee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：脳内お花畑
| 作成日時：2020年10月5日 21時
