検索窓
今日:19 hit、昨日:1 hit、合計:18,607 hit

第七話【俊敏の短刀】 ページ8

数日後___

あれから数日、布男は帰ってこない。私は私で第二部隊を無闇に出陣させたりはしなかった。ただでさえ刀装を作るのもギリギリだ。だが第一部隊に組んでいた短刀の子達はレベリングのために定期的に出していたが……暇そうにしている第二部隊に申し訳なってくるな。歌仙に「見捨てられたんじゃないかい?」なんて言われたが、あの言い草をしておいて見捨てるなんて事があるのだろうか
ただでさえプライド高い布男だぞ?任務放棄なんてするか?

「はぁ………」
『ため息ばっかだな、大将』

通信機から聞こえる低い声。短刀とは思えないこの声の持ち主は…薬研藤四郎。薬研ニキだ
現在第一部隊の短刀組は厚樫山へ向かい、敵と交戦している。様子を見るに物陰に隠れているようだ

「あ…ごめん、そっちはどう?」
『そうだな…今のところは大丈夫そうだ。刀装がギリギリの奴もいるがこのまま敵本陣に乗り込めば突破できるだろう』
「おっけー、慎重に頼むよ」
『了解した。………あ、それと大将』

何?と返事をした瞬間、薬研ニキがその場の全員に出撃指示をする。流石短刀。身軽で目で追うのがかなり大変だ

『最近、謎の男の事ばかり考えているようだが』

ノイズが大きくなる。薬研ニキもどうやら動き始めたようだ。画面を見れば分かることだが

『あまりそういうのは表に出すなよ』

ザシュッと生々しい音が聞こえた。交戦を開始したようだ。正直あんまり聞きたくない音である
それよりも、と私は薬研ニキの話に集中する。なんで?と聞く前に薬研ニキは吐息混じりに言った

『はぁ…他が妬くに決まってるだろ』
「…私みたいなクズに?あっはっは、こりゃまた面白い冗だ」
『少なくとも俺は冗談じゃないけどな』

あっさりとしたカミングアウトに、身体の反応が遅れて声一つすら出なかった

『そんじゃ、見守っててくれよ。たいしょ』
「え、ちょ、待っ…薬研ニキ!?」

ブツッと音を立てて通信が切られた
……もうなんか、男前すぎてしんどいんだが
私は画面から目を逸らし、天井を見上げて両手で顔を覆うと、発狂した。もうなにあのギャップ、やめて欲しい女として死ぬ

「主、失礼します」
「いっ、いつの間に!?」

両腕を掴まれ、顔を覆う両手が退けられたと思えば、目の前に美形があった。へし…長谷部だった

「外で何度呼んでもお返事がなかったので、勝手ですが入りました。急用もございます」
「へっ、急用……?」

えぇ、と言って長谷部は襖の方へ歩み寄る

第八話【謎のダンボール】→←第六話【布男の考え】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (33 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
80人がお気に入り
設定タグ:刀剣乱舞 , 山姥切長義 , ネタバレ注意   
作品ジャンル:その他
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:絶望少女 | 作成日時:2018年11月17日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。