第2話 ページ8
＊
「さて､本題に入ろうか」
ルスがくれた飴玉を口の中でコロコロを転がしながら舐めていると､急に話題を変えて話し始めた｡壁に刺さっていたナイフは抜かれてルスの服の中に仕舞われた
「僕の目的は君に魔法少女にならないかというお誘いをしにきたんだけど···君､魔法少女が何かって分かんない···よね」
「···全くもって分からないな」
生まれてこの方魔法少女などという事について何も知らずに育った人間だ､分からないのも当然である｡知っていても､
「アニメやゲームでは､魔物と戦う存在が魔法少女と言われているが､この世界での魔法少女は人の闇───つまり､負の感情が具現化され､其れが物体のない物となり憑依された者と戦う」
まぁ､幽霊が生きた人間に憑いた状態と戦うのが魔法少女の役目だと思ってくれたらいい
それがこの世界での魔法少女の役目だ
ルス曰く､人間の負の感情は､少しだけ持っていても危害を加えることはない｡力が弱く､憑依する力を持っていないからだと言っている
「だが､負の感情が大きくて､其れが前から積もり積もったままならばどうなると思う？」
「感情が爆発して､力が弱く憑依する力がなくても憑依出来てしまう···？」
その通り､とルスは言った
「弱いものは危害を加えないが､強いものは危害を加える恐れがある｡しかも､それは一般人には見えないんだ､霊能者や視える人は視えるがそれは極わずかな人でしかない」
最近､自 殺だの何だの増えているのはそれが関係しているのだろうか
私はルスにその事を話して聞いてみた
「酷く積もり積もった負の感情は､自分や他者を殺めることに直結する事もある
ストレスや不満から､人間の負の感情は積もり積もっていくもの､それは決して防ぎきれない」
「だからこそ､魔法少女が居るのか」
「その通り､話を理解するのが早くて助かるよ｡はい､飴ちゃん」
また飴をくれた､次はソーダ味だ
ポケットにソーダ味の飴を入れる
「魔法少女はその憑依された人間を倒す為に存在する､決して倒す
「ひとまず､これくらいかなあ
魔法少女が倒す者､何故憑依が起こるのか
其れについては分かってくれたかい？」
分かった､と私は頷いた
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作者名：揚げ豆腐 | 作成日時：2018年8月25日 2時
